2012 Fiscal Year Annual Research Report
せん断流れ場と歪曲電場を援用した特定単細胞連続選別法の開発
Project/Area Number |
23656136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中部 主敬 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80164268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 和也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90372854)
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Keywords | 単細胞選別 / 流体計測 / せん断流れ / 電場強度分布 / 静電泳動力 |
Research Abstract |
生体の単細胞に注目し,微量血液サンプル中で特定の単細胞だけを,マイクロ流体デバイスの流路内で電気的な力を利用して高速かつ連続的に選別する方法を新規に開発する研究を実施した. 初年度は単細胞の代わりに同程度の大きさで取り扱いの容易な球状ポリスチレン粒子を選別対象とし,マイクロ流路中に歪曲電場を発生させて粒子に電気泳動力を作用させるような薄膜電極を設計・製作して,実際に粒子が捕捉,誘導できるかどうか実験的に確認した.電極についてはその形状と配置が粒子に作用する誘電泳動力の大きさと方向に強い影響を及ぼすため,電場強度分布とそれに対応する誘電泳動力について詳細な3次元数値解析を行った.また,粒子の移動経路に関する数値予測が可視化画像解析の結果と良好に一致したことから,本数値解析手法ならびに実験系の妥当性が確認できた.さらに,粒子の電極部への高精度な供給が可能となるように給液流量の変動を極力抑える小型加圧式ポンプの設計,製作も別途行った. この成果を基にして,最終年度には初年度に開発した流体デバイスに単細胞そのものを流し,粒子の場合と同じように捕捉・誘導できるかどうか調べた.一方で初年度に妥当であることが確認できた数値解析手法を用いて,単細胞を捕捉・誘導するための性能向上が見込める電極形状を決定した.具体的な形状として細棒の電極と半月形のグラウンド電極の組み合わせた櫛型電極,2本あるいは3本の平行線配置のレール型電極等を設計,製作して性能評価を行い,充分な捕捉,誘導,選別の行える事を確認した.ただし,この流体デバイスは上流部での細胞センシングの結果に基づくアクティブな選別,分取の性能を未だ有しない.今後,センサー部と連動した分取機能の開発が必須である.また,臨床現場等で要求される分取性能を実現するためには更なる性能向上が望まれる.
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Research Products
(10 results)