2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656140
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新宅 博文 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (80448050)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 聡恭 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00250837)
土井 謙太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (20378798)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 流体計測 / マイクロ流体 / MEMS / 微小流路 / 生体計測 |
Research Abstract |
本年度は,超微細U字管(MEMS-U)の製作技術であるネガティブ型フォトレジストを用いたグレイスケールリソグラフィの有効性について詳細に検討を行った.まずフォトマスクの光透過性と製作される構造の厚さの関係について明らかにするために,様々な厚みを有する微小な梁状構造を製作した.その結果,単一のリソグラフィプロセスにより,3~139 μmの範囲で厚み変化を与えることが可能であることを示した.次に,製作した微小梁の機械的特性を評価するために梁の共振周波数について検討した.そして,共振周波数の計測結果に加えてSEM観察による形状の評価を行い,微小梁内部における音速を算出した.その結果,微小梁の厚み変化に伴う音速の変化が確認された.現在,本計測に加えて微小梁の曲げ試験を行い,その弾性定数について検討している.これにより,MEMS-Uの設計に不可欠な物性の収集を行う.さらに,同様のプロセスにより製作したマイクロポアを用いた電気穿孔を実施しており,電気的絶縁性と電流電圧特性について詳細な検討を行っている.これまでに,非定常印可電圧に対するマイクロポアの電流応答を解析し,得られた電流波形を再現する物理モデルの提案とそれに基づく現象解明について取り組んでいる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
製作技術に関して当初計画通りの結果が得られたこともあり,順調に研究の推進を行えている.また,本技術を応用した音響センサの開発および製作した構造の機械的特性に関して成果をまとめ,24年度中に専門の国際会議において公表するとともに,専門誌への投稿を計画している.さらに,製作した構造を用いた電気穿孔法に関する研究成果も纏まりつつあり,本成果についても専門誌への投稿を予定している.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得た研究成果のまとめと,計測法のさらなる精度向上を目指した技術開発を行いたい.まず,研究成果を投稿論文として専門誌での発表を計画している.具体的には電気穿孔法に関する成果およびグレイスケールリソグラフィにより製作した音響センサに関する成果を公表する予定である.一方,計測精度の向上について検討するため,MEMS-Uの生産性を改善し,様々な供試液体を対象として多くの実験を実施する.そして,得られた実験結果について詳細に吟味し,計測技術の適用範囲について検討する.さらに,MEMS-Uの微細化にも取り組み,最終的には細胞質のような極微量サンプルを対象とした計測へも挑戦したい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終目標である細胞質を対象とした計測へ向けて電圧信号発生装置の購入を計画している.本装置は,微小電流を計測するための電圧発生装置であることから,低ノイズの信号生成が求められる.年度の前半に予備実験を多く行い,必要な使用を満たす装置の選定を実施したいと考えている.効率的に研究費を使用するために,保有設備との整合性も加味しながら装置の選定を行いたいと考えている.
|