2011 Fiscal Year Research-status Report
音波型スターリングエンジン:スターリングエンジンの新展開
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23656141
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
琵琶 哲志 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314034)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 熱工学 / 音響 / 熱音響現象 |
Research Abstract |
気体がスターリングサイクルと呼ばれる熱力学的サイクルを実現する音波型スターリングエンジンの開発が本研究の目標である.スターリングサイクルの実現には,等温的熱力学的プロセスを実現可能な狭い流路をもつ多孔質(蓄熱器)内で圧力と流速が同位相の流体振動を実現することにある.ピストンやディスプレーサーなどの固体部品を使ってこの条件を達成するのがスターリングエンジンやスターリングクーラーである.固体部品の代わりに気柱音波を使う一つの方法がループ状の管を使用することである.本研究では同軸二重管構造を利用して同様の条件を実現することを試みた. 内径が40 mmと21 mmのアクリルパイプを使って中心軸を共有する同軸二重管を作成し,その一端を固体平板で閉じ,また他端を音響ドライバーに接続した.内部は大気圧空気である.内管と外管で挟まれた円環領域においては,気体と管壁の粘性相互作用により,軸方向速度振動には動径分布が生じる.まず始めに層流の条件の下で速度振動の動径分布を表す解析解を理論的に求めた.さらに,円環領域において軸方向速度分布をレーザードップラー流速計で測定し,理論解と一致することを確認した.次にワイヤーメッシュを20 mmだけ積層して二重管の一部分に挿入し,装置内部の圧力と速度の同時計測を行った.音響ドライバーで発生する音波周波数がある特性値のとき,蓄熱器における圧力と速度の位相差は90度に近いが,これより低い場合には,同位相に近づくことが分かった.この結果は同軸二重管型装置がスターリングエンジンとして機能しうることを意味している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえて,高温と低温の熱交換器を使って蓄熱器の軸方向に温度差をつけて,蓄熱器内部で音響パワー生成が実現することを確認する.また,音響ドライバー部分を音響負荷に置き換えて自励振動可能なことを実証する.加えて,二重管内部において測定された音場を1次元の音響モデルで再現することを試み,音波型スターリングエンジン設計の指針を構築する.これにより,簡便な設計方法の構築を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種金属メッシュ購入費(20万円),各種アクリルパイプ購入費(10万円),配管フランジ試作および金属ベローズ加工費(25万円),圧力トランスデューサおよび専用アンプ購入費(25万円),ローパスフィルタ購入費(10万円)のほか,成果発表旅費,外国語論文の校閲費を予定している.なお次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成24年度請求額とあわせ,次年度に計画している研究 の遂行に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)