2011 Fiscal Year Research-status Report
電気穿針による魚卵内への耐凍結・乾燥保護物質の導入法の開発
Project/Area Number |
23656144
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白樫 了 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80292754)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 細胞操作 / 膜輸送 |
Research Abstract |
魚卵の誘電特性の測定 産卵時期が制御しやすく手に入りやすいメダカの魚卵を使用して,回転誘電スペクトル測定は, 1kHz~20MHzの周波数範囲で行った.即ち,魚卵を導電率・誘電率が既知の支持液に浸漬した状態で十字型の2対の電極をもつ光学顕微鏡観察ができるマイクロチャンバーに入れ,高速度4端子パルスジェネレータで種々の周波数の回転電場を電極間に印加した.各周波数における電極間の魚卵の回転をビデオカメラにて顕微鏡動画撮影し,回転速度と回転方向のスペクトルを動画より測定した.測定された回転スペクトルパターンと顕微鏡による発生段階の魚卵の形態を比較することで,魚卵の卵膜,空隙,胚膜,卵黄等の誘電特性を算出した.電場操作の予備実験電気穿針の予備実験として,中空針-平板電極による魚卵の誘電泳動と局所電気絶縁破壊を確認した.即ち,ニッケル製の直径数10~100μmの管で中空針を作成し,平板との間で電極を構成した.中空針側の電極は細胞マニピュレータに設置して,中空針側と平板間にある魚卵に電極間に種々の強度と周波数の電場を印加することで電気泳動の有無を確認した.また,ある電場パルス強度とパルス長さにおいて電気穿孔が実現されることを確認した.さらに,1魚卵保持-電気穿孔用のデバイスの設計をおこなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
魚卵の誘電特性については,測定系の構築と誘電特性算出のための解析プログラムの開発,実際の計算まで終了しており,当初予定の誘電特性の取得ができた.電場操作の予備実験については,誘電泳動に必要な電位強度が予想以上に高いと予想されれた為,電場印加装置系の変更を検討する必要がある.ただし,電気穿孔が実際に実現できることを確認し,誘電泳動を用いずに電気穿孔をする装置の設計を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
電気穿孔条件の検討:本年度設計した1魚卵用の電気穿孔デバイスの製作を行い,種々のパルス電場強度,パルス長さで電気穿孔をメダカの魚卵に対して行い,パルス条件のデータを取得する.電場計算:本年度得られた魚卵の電気物性を用いて,針-平板電極における電場・膜電位過渡応答計算を行い,電気穿孔のパルス条件のデータと比較する.デバイスの機能評価:非膜透過性の蛍光色素を魚卵内に注入して,魚卵内の色素の広がり具合や抜針後の色素漏洩の有無等を,レーザー共焦点蛍光顕微鏡で観察する.その後,時間が許せば実際に凍結保護物質(グリセリン・エチレングリコール等,分離した胚に効果がある保護物質)の有無を種々の冷却速度で観察したり,凍結保存後に孵化率を測定することを予定している.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時の予定通り,デバイス作製に必要な切削工具,微細針電極の材料費,蛍光色素,色素等を消耗品,注入用の極微量用シリンジポンプを設備備品として購入することを予定している.さらに,学会発表に伴う出張費,資料整理依頼に伴う謝金も出費する予定である.
|