2011 Fiscal Year Research-status Report
吸収粒子を含む水乱流を用いた二酸化炭素ガスの高効率吸収・輸送システム
Project/Area Number |
23656149
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 良道 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50144332)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 低炭素化技術 / 混相流 / 熱工学 / 環境技術 / 物質移動 |
Research Abstract |
低炭素化社会の実現に向け、二酸化炭素ガスの高効率回収法の確立が求められている。従来の吸収法では、ほとんどの場合水や吸収粒子は固定されており、その場からの輸送を考えておらず、必ずしも高効率とは言えない。そこで本研究では輸送を主体に考え、水流中に二酸化炭素気泡と吸収粒子を相互作用するように供給する。これにより、水と粒子による大量の二酸化炭素ガスの吸収と輸送を連続して高効率で行う方法の確立をめざすことを目的としている。初年度は以下の結果を得た。1.二酸化炭素吸収特性に優れる諸物質から、文献調査の結果、水中で特性の優れる物質としてゼオライトを選定した。ゼオライト粒子を対象として、正方形断面を有する水平ダクト内乱流水流に添加した場合について、数値シミュレーションプログラムを作成した。このとき、粒子を表すために、埋め込み境界法を用いた。作成したプログラムを実行して、正方形ダクト乱流に1個の球形粒子を与え、その運動を調べた。その結果、当初の予想よりも早く沈降することが判明した。この結果を踏まえて、水平流ではなく、鉛直流を採用することとした。2. 沈降粒子を含む下降乱流水流の計測を行なった。現有の鉛直ダクトに平行になるように設置した1軸自動ステージに現有の高速ビデオカメラを取り付けて、沈降粒子とトレーサー粒子の画像を取得した。その結果、カメラの移動速度を沈降粒子の速度より遅くしても、沈降粒子の追跡時間は静止カメラの場合より長いこと、トレーサー粒子の運動追跡の精度があまり変わらないことを確認した。3.沈降粒子とその周りのトレーサー粒子の画像を処理して、流れの時間スケールを求め、その値から新しい局所ストークス数を得た。その局所ストークス数の時間変化を、すでに得られている数値シミュレーションの時間変化と比較した。その結果、両者は比較的良く一致し、数値シミュレーションの妥当性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水平正方形ダクト内の吸収粒子の沈降が、当初の予想よりも早いことが判明して、鉛直下降流に変更した。そのため、二酸化炭素気泡の運動の計測ができなかったことは、マイナス要因である。しかしながら、数値シミュレーションを先行させたことで、装置の不備による測定の遅れを回避できたこと、鉛直流でも、移動カメラ法により精度良く沈降粒子とトレーサー粒子を捕らえられること、局所ストークス数の妥当性を実験的に証明できたこと、といったプラス要因が多い。これらを考慮して、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度における研究の達成度に多少の差があったが、次年度の研究については、基本的には交付申請書に記載の実施計画に基づいて推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、研究の達成度の多少の差に関連して、謝金が当初予定を下回った半面、前倒しになった実験に関する物品費が当初予定を上回り、かつ年度末に購入した物品の消費税の関係などから10円余った。平成24年度は、交付申請書に基づき、測定関連の光学備品と消耗品を購入するため、1,795千円を物品費に充てるが、これに繰り越しの10円を追加する。なお、交付申請書に基づき旅費に105千円、謝金に100千円を充てる。
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Research Products
(2 results)