2012 Fiscal Year Research-status Report
吸収粒子を含む水乱流を用いた二酸化炭素ガスの高効率吸収・輸送システム
Project/Area Number |
23656149
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 良道 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50144332)
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Keywords | 熱工学 / 環境技術 / 低炭素化技術 / 物質移動 / 混相流 |
Research Abstract |
低炭素化社会の実現に向け、二酸化炭素ガスの高効率回収法の確立が求められている。水あるいは特定の粒子を用いて二酸化炭素ガスを吸収・吸着する従来の方法は、必ずしも高効率とは言えない。本研究では、輸送を主体に考え、水流中に二酸化炭素気泡と吸着粒子を相互作用するように供給する。これにより、水と粒子による大量の二酸化炭素ガスの固定と輸送などを連続して高効率で行う方法の確立をめざす。第2年度である平成24年度は、以下の結果を得た。 1. 二酸化炭素吸着粒子であるゼオライト粒子について、水中に溶解している二酸化炭素および水中の二酸化炭素ガスの吸着効率は、二酸化炭素ガス中の粒子の吸着効率と比較して低いことを確認した。他方、二酸化炭素を吸着したゼオライト粒子を希薄塩水により再生できることを確認した。従って、希薄塩水流に二酸化炭素気泡と吸着済みゼオライト粒子を添加することにより、吸収、輸送、再生を連続して高効率で行う方法の確立をめざすこととした。 2.設備備品として購入する予定であった高速度ビデオカメラは、現有の高速度ビデオカメラとの同期がとれず、同時ステレオ撮影が困難であることが判明した。そこでミラーを用いて追跡する物体を2方向からステレオ撮影するシステムを構築した。さらに、球形の固体粒子の運動を高速度カメラで撮影し、以前に数値シミュレーションで得た粒子の運動を比較して、シミュレーションの妥当性を調べた。 3.水流に二酸化炭素気泡を吹き込み、吸収により徐々に小さくなる気泡の影を撮影することに成功した。また、気泡とゼオライト粒子の衝突の画像を撮影し、運動を解析することに成功した。 4.フェイズフィールド法を用いて、吸収により小さくなる二酸化炭素気泡の数値シミュレーションに世界で初めて成功した。さらに、水流の温度計測法として、近赤外光の吸収を測定する方法が有望であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1台のビデオカメラによる吸着粒子と気泡のステレオ撮影の結果の検討は不十分であり、予定よりやや遅れている。しかしながら、数値シミュレーションの新しい結果を得たこと、および新しい手法である近赤外光を用いた温度測定の準備が整ったことは計画より進んでいるといえるので、全体としておおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
各項目の進捗状況の差を考慮しつつ、交付申請書に記載した25年度の研究計画に基づき、研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高速度ビデオカメラを購入しない代わりに、数値シミュレーション用コンピュータと温度測定用の近赤外レーザー光源を購入した。差額を外国出張旅費として使用した。そのような変更のため、残額が生じたが、それを25年度の物品費に組み込み、必要な物品を購入する。
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Research Products
(4 results)