2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656155
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
長山 暁子 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60370029)
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Keywords | 熱工学 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
ナノサイズの気泡・液滴については,製造業や環境関連分野,医療分野を始めあらゆる先端技術領域で注目されている.しかし,技術開発が先行するゆえ,ナノ気泡・液滴の発生メカニズムを始め,その存在自体を十分説明できず,理論的には明確なものとなっていない.本研究では,ナノ気泡・液滴の存在を裏つける新たな理論体系を構築し,従来のYoung-Laplace 式の適用範囲を明確に示すとともに,古典的均質核生成理論の是非を検討し,ナノ気泡・液滴の発生メカニズムを科学的に解明する. 今年度は昨年度に引き続き単純分子系のアルゴン分子を対象としたナノ気泡・液滴の分子動力学シミュレーションを行いた上,水分子や高分子水溶液を対象とした分子動力学解析を展開した.ナノ気泡・液滴の界面力学機構の学理探求に重点をおいて,Young-Laplace 式の適用範囲ならびに曲率界面の界面応力を加えた新たな理論式の検証を行った.計算コードを並列化の改良を加えて実施した. 実験に関しては,走査型共焦点レーザー顕微鏡による純水のナノ気泡・液滴の観察を行い,加えた超音波振動エネルギーと発生気泡・液滴サイズ,粒径分布を計測した.溶存ガスを含まれる水中のナノ気泡の観察も同時に行った.親水面,疎水面,ナノ・マイクロ構造面等の固体面構造による気泡生成や液滴蒸発挙動に及ぼす影響を明らかにすることができた.また,加熱・冷却ステージによる純水ナノ気泡・液滴のIn-situ 観察や走査型原子間力顕微鏡による気液界面の界面力計測のテスト実験を試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子動力学解析や理論構築は予定通り進んでいる.超音波振動後のナノバブル観察に関しても予定通りに進んでいるが,気液界面の界面力の測定が共同利用装置の利用制限によってなかなか進まなかった.また,現有の走査型共焦点レーザー顕微鏡が一時的に故障してしまい,十分なデータが収集できておらず,現在修理を済まして,再実験を実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は引き続き分子動力学解析および実験観察を進めていき,適宜な時期に学会発表を行う予定である. 実験に関しては,主に加熱・冷却ステージによる実験計画を立てて,純水および水溶液におけるナノ気泡・液滴のIn-situ 観察・界面計測のテスト実験を実施することにする.当初購入予定であった物品の超音波振動ステージが現有の共焦点レーザー顕微鏡に組み立てることができず,初年度での購入をキャンセルした.次年度は超音波振動ステージの代わりになる実験装置を考案して,可能な限り当初の実験計画を実施できるようにチャレンジーする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算に関しては引き続き九州大学スーパーコンピューティングシステムを利用し,使用料を研究費から支出する予定である. 実験に関しては,当初購入予定であった物品の超音波振動ステージが現有の共焦点レーザー顕微鏡に組み立てることができず,購入をキャンセルにしたため,未使用額が生じた.次年度では加熱・冷却ステージを走査型共焦点レーザー顕微鏡に設置し,必要な周辺装置を購入する.また,超音波振動ステージの変わりになる実験装置を引き続き予算内で検討し,作製に必要な部品および周辺装置を購入する予定である.
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