2013 Fiscal Year Annual Research Report
MRI用小型永久磁石のための相変化蓄熱材を用いた±0.01℃温調システムの開発
Project/Area Number |
23656156
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 邦康 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50272703)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 永久磁石 / 温度制御 / 相変化 |
Research Abstract |
小型永久磁石は磁場強度が0.3 Teslaで、磁石間隔が140 mmで置かれたネオジウム磁性体で構成された磁石であり、NEOMAXエンジニアリング株式会社が製作した。磁石内部に設置可能な幅80mm、長手方向が100mmの楕円状内径を持つRFプローブを製作し、磁石内部に固定した。製作したRFプローブの共振周波数は13.4 MHzであり、そのQ値は280であった。 磁石本体の温度の安定性には、磁石周囲から鉄構造部への熱流入を最小限に抑える必要がある。そこで、鉄構造部の周囲に冷却水を流すことができるアルミニウム板を設置した。磁石とアルミニウム板の間には断熱材を入れて両者での熱移動ができるだけ生じないようにした。 また、磁石には発熱体として勾配磁場コイルが設置されている。勾配磁場コイルは計測領域が約80㎜球、勾配磁場強度が0.177~0.280G/cm/A、実抵抗値が1Ω以下となるように設計し、NEOMAXエンジニアリング株式会社が製作した。磁石と勾配磁場コイルに10㎜の隙間を空け、勾配磁場コイルがジュール熱で発する熱量を冷却媒体で除熱できる冷却装置を製作した。その冷却装置に冷媒を循環させ、磁石温度の安定化を行った。 通常のMRI計測システムの送受信機の受信帯域幅は最低でも10kHzである。既存の検波器をフィルター帯域1~100kHzで設定できるように改造した。RFプローブ内に試料として硫酸銅水溶液を挿入し、フィルター帯域1 kHzでNMR信号を取得してノイズの混入の程度を評価した。 上記システムを組み上げ、循環冷媒により磁石の温調を試みた。数時間の時間変化に対して磁石の磁場を±100 ppm程度で安定させることは可能であった。また、循環冷媒として相変化蓄熱材の検討を試みた。25℃で融解・凝固を行うカプセル式の相変化蓄熱材はその融点に一定の幅があり、単成分のような一義性がない。このため。冷媒に相変化蓄熱材を混入させても冷媒温度の安定性に明確な向上は見られなかった。
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