2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子バイポーラス構造体によるスーパークーリング技術の原理実証と完全制御
Project/Area Number |
23656158
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
結城 和久 山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (90302182)
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Keywords | ナノ粒子 / 沸騰伝熱 / 濡れ性 / ポーラス / 冷却 |
Research Abstract |
加熱されたナノ粒子施工面上に注射針を使って直径2mm程度の液滴を落下させ、液滴の動的挙動と液滴が蒸発し消滅するまでの生存時間を評価した。使用したナノ粒子は酸化チタン、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの4種類であり、アルコール分散および水分散で濃度調整された合計32種類のナノ粒子構造体について評価した。まず、施工面について光学顕微鏡とSEMによる観察を実施し、ナノ粒子施工膜にナノスケールの粒子の集積構造とマイクロスケールの構造が共存する、所謂、ナノ粒子バイポーラス構造体として存在してことを明らかにした。特にマイクロスケールの構造については蒸気の吹き抜けによって形成されるため、施工壁面温度によってマイクロスケール孔の数密度が変化する。パラメータの多さから施工壁面温度を固定し、液滴の蒸発時間と動的挙動について評価した。先ず、ナノ粒子の種類に関らず、ナノ粒子バイポーラス構造体の沸騰伝熱特性が飛躍的に向上することを明らかにした。具体的には、濡れ限界温度が非施工面のものと比較して劇的に上昇し、更に、濡れ限界温度以上の高温域での蒸発時間が、施工無しと比較して1/10以下に向上した。この事実は、ナノ粒子バイポーラス構造体が、限界熱流束の飛躍的向上に大きく影響することを示唆する。また、特定のナノ粒子については濡れ限界温度以下の低温域においても蒸発時間が短くなっており、沸騰熱伝達率も向上することが予想される。ナノ粒子濃度が蒸発時間に与える影響について確認することは出来なかったが、これはマイクロスケール孔による蒸気の吹き抜けが伝熱促進の主要因子であることを示唆するものである。更にナノ粒子の種類が沸騰伝熱に与える影響について明確な差を確認することはできなかったが、ナノ粒子種によっては液滴の強い引き込み現象を確認しており、粒子種がナノスケールレベルでの毛細管現象や濡れ性に影響する可能性がある。
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