2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者運転能力判断用ドライビングシミュレータの現実感の評価
Project/Area Number |
23656161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 公彦 東京大学, 大学院情報学環, 准教授 (90325241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 啓彰 高知工科大学, 地域連携機構, 客員教授 (60333514)
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Keywords | 自動車 / 高齢者 / 運転 / ドライビングシミュレータ |
Research Abstract |
ドライビングシミュレータを運転能力判断に用いることを想定しながら,定置型,モーション型の2つに分け,実運転時と比較しながら,その臨場感を評価する.そのためには,PASAT(Paced Auditory Serial Addition Test)と呼ばれる音声による暗算タスクを与えられながら運転を行う時と,タスクのない時の運転の状態を比較することによって行った. 高知県警運転免許試験センターにおいて,実車実験を行った.信号交差点右左折,一時停止,車線変更などを含むコースを設定し,PASAT試験を与えた場合と与えなかった場合,それぞれ3周の走行を行った.試験中は同乗者が運転技能とPASAT試験を採点するとともに,操舵角を計測し,ステアリングエントロピー法を用いて,操舵の滑らかさを評価した.同じ試験コースをドライビングシミュレータ(以下DS)においても再現し,実車試験後に同じ被験者が運転を行った.DSは23年度予算で購入したもので,モーションの再現は行わない定置型である.また,東京大学においては,自動車の動きを再現可能なモーション型DSと定置型DSを用いて同じ実験を行った.被験者の数を増やしながら,23年度と24年度に渡って実験を行った. 定置型DSの方が実車やモーション型DSよりもPASAT試験の正答率が高くなる傾向が見られた.運転よりもPASAT試験に集中してしまっていることが示唆される.操舵に関しては,モーション型DSの方が定置型DSよりも操舵が滑らかであった.なお,高齢者を被験者にした場合は,シミュレータ酔いを誘発することが多かった. 運転能力を正しく判断するため,特に操舵をその材料にする場合は,モーション型が好ましいことが分かった.ただし,DSは,特に高齢者に対して,酔いを誘発することが多い.シミュレータ酔いのメカニズムの解明と,その対応が今後の課題である.
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