2012 Fiscal Year Research-status Report
ハミルトン系を規範とする省エネ運動制御理論と流体駆動ロボットへの応用
Project/Area Number |
23656168
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
玄 相昊 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30344691)
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Keywords | 油圧制御 |
Research Abstract |
昨年度報告したとおり、ハードウェアの実現方法に問題があり、アドバイザーと相談した上で、バルブマトリクス方式から高速ポンプを分散配置する方式に油圧回路を変更したが、本年度も引き続き、その油圧回路を対象として研究を進めてきた。 本研究においては、実際に存在するエネルギー損失を補充することが基本であるため、その物理的な実現方法を模索していた。エネルギーを補充するためのポンプを選定し、回路を検討する過程で、そのポンプ駆動回路を開回路に包含するというハイブリッド駆動回路のアイデアが浮かんだ。増圧効果により、大きな負荷のもとで精密に速度を制御可能であることが判明した。また、過去の研究を調査した結果、従来にない回路方式であり、産業機械を低コストで高度化できる技術であると判断し、特許出願に至った。そして、計画していた順番とは異なるが、エネルギー保存を後回しにして、まずは精密追従制御の課題を優先させることとした。 実際に回路を組んで実験した結果、驚異的な実験データが得られた。具体的には、従来の油圧機器ではあり得なかったサブミクロンの精密位置決め制御を高負荷において達成するという成果を得た。成果は2月に見本市に出展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、流体回路的な工夫により、目標とする軌道を高効率かつ精密に達成することを目的としている。当初計画ではまず仮想的なエネルギー保存を達成し、その後、目標点通過を達成する予定であった。しかし、本年度、研究を進める過程で、後者を精度よく達成する新しい回路の発明に至った。考案した回路で実験してみると、想定外の結果が得られたため、事実かどうか確認するための追加実験を慎重に行ってきた。 特許出願を済ませた上で、見本市にプレス試作機を動展示し、大手油圧メーカーと共同研究を開始できるだけのインパクトのある結果が得られたが、エネルギー保存(エネルギー回生)については後回しとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画遂行の順番が変わってしまったが、最終的にエネルギー保存を規範とする制御則を導出すればよいので、本年度はエネルギー回生回路の解析と制御則導出を行う。まず、新しい回路においてエネルギー保存方法、すなわち、エネルギー回生方法を検討し、その回路シミュレータを作成する。 当初計画ではバルブでネットワーク結合係数を変化させることで、ハミルトン系への変換に必要な制御入力を発生させる予定であったが、回路の変更に伴い、バルブの開閉とポンプ駆動サーボモータの回転数の両方を操作する必要がある。シミュレーションを通じて、圧力と流量への影響を詳細に解析することで、まず1自由度の周期運動におけるエネルギー回生を成功させる。次に、回路を2自由度に拡張し、第2シリンダをフライホイールとして用いることで、第1シリンダの周期運動のエネルギー効率を向上させることを実験的に検証したい。 その他、8月のイノベーションジャパン2013及び11月の国際ロボット展への出展を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理論を実装する分散駆動回路の構成に必要なバルブやモータ等、実験に関わる消耗品の購入費と、学会発表のための出張費用(5月30日の日本フルードパワーシステム学会春季講演会で発表予定)、実験補助のアルバイト代に割り当てる計画である。 なお、前年度で購入した消耗品が当初想定していた額よりも安価だったため未使用額が生じたが、次年度とあわせて物品費として使用する予定である。
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