2012 Fiscal Year Research-status Report
フェムト秒レーザを用いた生産環境のトレーサブル絶対三次元空間化
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23656175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高増 潔 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70154896)
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Keywords | 超精密計測 / トレーサビリティ / 三次元測定 / フェムト秒レーザ |
Research Abstract |
2009年7月にフェムト秒レーザを利用した光周波数コム装置が,計量法で定める長さの国家標準(特定標準器)となった.従来の特定標準器より精度が300倍になっただけでなく,長さ計測を直接的に計量トレーサビリティ制度へリンクすることができるようになった.開発しているフェムト秒コム距離計は,高精度(例えば100mを10μmの精度),高速(10kHz以上)に絶対距離を計測できる新しいシステムであり,国家標準と直接つながっている. この距離計をファイバネットワークおよびスキャナーに接続することで,生産環境においていつでもどこでもトレーサブルな絶対三次元計測を可能にするという挑戦的な提案である.生産環境を絶対三次元空間化できれば,工場のライン配置のための位置計測,工作機器等の設置,組立部品位置の管理,大型構造物の計測などを簡単に絶対的,三次元的かつ低価格で行うことができ,日本の次世代のものづくりの高度化,環境負荷の低減,安全安心の確保などを飛躍的に推進することができる. 本年度は,フェムト秒レーザにより絶対距離計を構成し,パルス間隔(1.5m)の整数倍の距離における測距の基礎実験を行った.この基礎実験により研究の目的に対応できることが確認できた.つぎに,ファイバーエタロンにより,パルス間隔を短くする実験を行い,20mmのパルス間隔で計測が行えることを確認した. 以上の検討により,広い範囲で高精度の絶対距離計測が可能なことを示し,基本計画のフィジビリティを確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的に対して,本年度の研究は以下の2つの点に絞って行った.まず,概念設計として,フェムト秒コム距離系を使ったフェムト秒レーザランの基本的な構成を検討し,そのフィジビリティ(測定精度,測定時間,コスト,環境)の検証を行った.既存のフェムト秒レーザを用いて,基本実験を行い,広い範囲の絶対距離計測の検証を行えた. つぎに,三次元化のための検討を行った.現状のフェムト秒コム距離計は1次元的な距離計測にのみ使用されている.これを三次元化する場合に必要となるため,スキャナーとCCDカメラの基礎研究を行った. これらの成果により,概念設計およびフィジビリティの評価を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果を利用して,スキャナーによる三次元絶対位置計測の方法の基礎実験を行う.キャッツアイを対象としての高精度測定と,粗面に対する適用を新しい課題として行う. 2つのタイプの検討を行う.まず,大型な設備,機械に対して,粗面として三次元絶対位置および形状が絶対測定できることを確認する.つぎに,キャッツアイを利用した工場内の三次元絶対空間化の手法を検討する.CCDカメラおよびスキャナーの校正については,自己校正を用いた方法が有力である.この手法を適用することで,三次元空間の絶対的な計測を高精度で行うことが可能となる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な設備は,既存のものが利用できるため,スキャナー関係が設備としては必要となる.まずは,粗面を対象とするためスキャナー自体の精度はそれほど必要としない. 実験の結果が順調に推移しているため,広い場所での精度確認実験を行い,この分野での主要学会等での発表を積極的に行うことを計画している.
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