2013 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザを用いた生産環境のトレーサブル絶対三次元空間化
Project/Area Number |
23656175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高増 潔 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70154896)
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Keywords | 超精密計測 / トレーサビリティ / 三次元測定 / フェムト秒レーザ |
Research Abstract |
2009年7月にフェムト秒レーザを利用した光周波数コム装置が,計量法で定める長さの国家標準(特定標準器)となった.従来の特定標準器より精度が300倍になっただけでなく,長さ計測を直接的に計量トレーサビリティ制度へリンクすることができるようになった.開発しているフェムト秒コム距離計は,高精度(例えば100mを10μmの精度),高速(10kHz以上)に絶対距離を計測できる新しいシステムであり,国家標準と直接つながっている. この距離計をファイバネットワークおよびスキャナーに接続することで,生産環境においていつでもどこでもトレーサブルな絶対三次元計測を可能にするという挑戦的な提案である.生産環境を絶対三次元空間化できれば,工場のライン配置のための位置計測,工作機器等の設置,組立部品位置の管理,大型構造物の計測などを簡単に絶対的,三次元的かつ低価格で行うことができ,日本の次世代のものづくりの高度化,環境負荷の低減,安全安心の確保などを飛躍的に推進することができる. 昨年度までに,フェムト秒レーザにより絶対距離計を構成し,パルス間隔(1.5m)の整数倍の距離における測距の基礎実験を行った.この基礎実験により研究の目的に対応できることが確認できた.つぎに,ファイバーエタロンにより,パルス間隔を短くする実験を行い,20mmのパルス間隔で計測が行えることを確認した. 本年度は,これまでの成果を利用して,スキャナーによる三次元絶対位置計測の方法の基礎実験を行った.さらに,粗面に対する適用を新しい課題として行った.大型な設備,機械に対して,粗面を対象として三次元絶対位置および形状が絶対測定できることを確認した.CCDカメラおよびスキャナーの校正については,自己校正を用いた方法が有力であることが確認でき,三次元空間の絶対的な計測を高精度で行うことが可能となることを実証した.
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