2012 Fiscal Year Research-status Report
歩行アシストのための可変剛性高分子ゲルスパッツの構造と制御
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23656182
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
橋本 稔 信州大学, 総合工学系研究科, 教授 (60156297)
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Keywords | 人工筋肉 / ソフトアクチュエータ / 高分子ゲル |
Research Abstract |
積層型ポリ塩化ビニル(PVC)ゲルを用いて従来の歩行アシスト装置に比べ飛躍的に軽量化した歩行アシスト装置を開発する基礎技術を確立することを目的として研究を行ってきた.平成23年度は,可変剛性スパッツに用いる積層型PVCゲルの製作とその剛性変化について測定を行い,可変剛性スパッツを実現するための基礎技術を確立した.平成24年度は,23年度に開発した可変剛性ゲルデバイスを用いてスパッツの製作を行い,そのスパッツの歩行アシスト効果の検証を行った.具体的には次の通りである. 23年度の製作した積層型PVCゲルの剛性変化を測定した結果,電場を印加しない場合に比べ電場を印加した場合は剛性が5倍以上大きくなっていることが分かった.これにより,歩行アシストのための可変剛性スパッツを実現する見通しが得られた. 可変剛性ゲルを組み込んだスパッツの設計,製作を行った. 歩行アシストに必要な発生力を20Nと設定して,可変剛性ゲルデバイスの設計を行った.可変剛性PVCゲルデバイスは,縦横の大きさが10mm×50mm,高さ15mm,積層数15層で構成され,重さ20 gである.PVCゲルデバイスの剛性変化による収縮力を利用するため,側面をPVCゲルで被覆している. このPVCゲルデバイスを8個用いて片脚の運動アシストに用いた.この可変剛性スパッツに7%程度の伸びをあたえ,300Vを印加するとPVCゲルデバイスの剛性変化で20N程度のアシスト力を発生させることができる.また,歩行実験により,このゲルスパッツを用いることで筋活動量が減少することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度までの研究により,片脚の可変剛性高分子ゲルスパッツを開発し,歩行運動におけるアシスト効果を確認することができた.しかし,当初の目標であった両脚の可変剛性ゲルスパッツの製作やその制御については実施できていない.これは可変剛性ゲルに引張り力が作用するため,結合力の弱いところで剥離が生じてしまうという問題が生じたこと,またゲルの発生力を効率よく伝達させるためのスパッツへの取り付け法について試行錯誤的に繰り返し検討したことによるものである.
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を延長して,平成25年度に両脚用のゲルスパッツを製作し,ゲルスパッツの剛性制御法を検討してその有用性を検証したい.具体的には,可変剛性ゲルデバイスをさらに8個製作して,これまで作製したものと合わせて両脚をアシストできるようにする.さらにこれらを制御するためのPCベースコントローラを製作する.足底圧力センサを用いて歩行の位相をを検出し,適切なタイミングで剛性制御を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの到達度」の欄に記入しいた理由により進捗が遅れたため,未使用の予算を次年度に繰り越すこととなった.次年度に繰り越した経費は,両脚用の可変剛性ゲルスパッツの製作と、歩行アシストのための剛性制御装置の開発に使用する予定である.具体的には,可変剛性ゲル8個分の製作費,ゲルスパッツの制御装置を製作するために,PC,インターフェースボード,足底圧力センサ,可変剛性ゲルデバイス用電源などの購入のために繰り越し予算を使用したい.
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Research Products
(3 results)