2011 Fiscal Year Research-status Report
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23656193
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辻 隆男 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00432873)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 電力系統 / 水道事業 / 太陽光発電 / 風力発電 |
Research Abstract |
エネルギー問題の解決に向けて、我が国では太陽光発電の大量導入が国策として推進されている。しかし大量の太陽光発電を含む電力システムでは、その出力の不安定性に起因して、安定供給を維持できる系統運用方式の開発が非常に重要な課題となる。そこで本研究は、電力と同様に大規模な基盤インフラである水道事業に着目し、電力システムの安定運用に貢献するように、電力需要を調整する協調的な運用方式の検討を行うものである。 平成23年度は、主に大量の太陽光発電を含む電力システムのモデル化を行うと共に、出力が不安定な電源を含む電力システムの安定運用の考え方について、多角的に検討を行った。その結果、以下に示すような知見が得られた。 まず大量の太陽光発電を含む電力システムのモデル化については、我が国の60Hz系統を対象にした電気学会標準WEST10機系統モデルを基に、太陽光発電を負荷側に需要量に応じて導入するモデルを構築した。ここで太陽光発電のモデル化として、電力系統の電圧や周波数が変化しても大きさが不変となる定電力モデルを採用した。また、太陽光発電の出力増加に合わせた電力系統側の発電機運用の考え方を整理した。上記を勘案した上で、太陽光発電の出力変動に関する数値計算を実施し、太陽光発電大量導入時の影響について検討を行った。 次に自然エネルギーを活用した電源の大量導入時における電力系統運用の考え方として、出力変動に伴う送電線の電力潮流量の変化を確率的に評価し、これを考慮して安定余裕を大きく確保する手法の検討を実施した。ここで、自然エネルギーの変動は地域ごとに相関性があるため、これを適切に考慮できるような確率論的手法の導入を行った。また需要側の協調的な負荷制御が、電力系統の安定運用に寄与する効果についても検討を行った。ただし水道事業における運用と直接的にリンクができていない点が次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に比較すると、太陽光発電を含む電力システムのモデル化、ならびに同系統において生じうる問題点の整理などに関しては概ね検討が終了し、学会においてもその成果の一端を発表できたことから、当初計画を上回る大きな成果を上げていると考えられる。一方で、電力システムとの協調運用を議論すべき水道事業側の検討に関しては、その協調運用が電力システムの運用に資する効果を議論できてはいるが、水道事業側の適切なモデル化、ならびに運用制御手法に関する検討は立ち遅れている面がある。 以上を勘案すると、全体としてはおおむね順調に進展していると自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
水道事業側の運用制御方式の検討がやや立ち遅れているため、平成24年度においては、まず水道事業側のモデル化を再度検討し、運用制御方式開発のための基盤を構築する。この検討に資するために、送配水系統の解析に関するソフトウェアの導入を行い、数値解析を早急に進展する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、送配水系統の解析を進展させるためにソフトウェアの導入を行う予定である。また検討の2年目となり、検討した知見が蓄積されてきているため、学会発表および論文掲載費用を計上する予定である。
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Research Products
(3 results)