2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656193
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辻 隆男 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (00432873)
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Keywords | 電力系統 / 需給制御 / 周波数制御 / 確率論的潮流計算 |
Research Abstract |
エネルギー・環境問題の解決に向けて,太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの大量導入は,非常に重要な課題である。しかしこれらの電源の出力は気象条件に応じて不確実に変化する問題がある。そのため大量導入が進展した電力系統では,再生可能エネルギーの出力変動に対して,電力需給バランスを常に維持し続けることが困難になると懸念されている。 この対策として,(1)大量に導入された再生可能エネルギーの出力変動が,電力系統の運用制御に及ぼす影響を適切に把握すると共に,(2)在来の水火力電源の供給力調整だけではなく,需要家側の電力需要調整も活用して需給バランス維持に貢献する“ディマンドレスポンス”の概念が重要である。本研究は,上記(1)の問題を確率論的な知見から評価・検討すると共に,(2)として,同じ基幹インフラとしての重要性を有する送配水システムのポンプ運用を考慮して,その電力需要制御の有効性を検討するものである。 大量に導入された風力発電の出力変動の合計は,ならし効果を考慮すると,数10分程度の周期で変動すると言われている。この変動を水火力電源の“負荷周波数制御”により補償する場合,現実の電力系統では送電線路の容量を超過する電力潮流が生じる可能性がある。そこで上記(1)の検討として,送電線路に生じる電力潮流の大きさを確率的に評価し,容量を超過する確率が規制値以下に収まるように発電機運用を調整する手法を開発した。一方,上記(2)の検討としては,水道事業におけるポンプ需要の大きさを概算すると共に,その制御効果を勘案した需給制御のシミュレーション体系を検討した。広域系統における電力需要全体に対し,ポンプ需要の占める割合はそれほど大きくないため,単体での効果は限定的と考えられるが,マイクログリッドなどの規模の小さい系統においては,その有効性が発揮されるケースも考えられる。
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