2011 Fiscal Year Research-status Report
リラクタンストルクを有する究極の高温超伝導誘導同期機実現への挑戦
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23656199
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 武恒 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30303861)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 誘導同期機 / リラクタンストルク / 磁気遮蔽 / 同期回転 |
Research Abstract |
本年度は、まずビスマス系高温超伝導テープを用いたバンドル導体について、その磁気遮蔽特性を検討した。リニアコアを利用して、液体窒素中で試験を実施したところ、その磁気遮蔽特性を確認することができた。ただし、ビスマス系高温超伝導バンドル導体の複雑な非線形電流輸送特性や、あるいは構成した磁気回路における漏れ磁束他の定量評価が困難であったことから、まだ磁気遮蔽特性の正確な評価には至っていない。このことは、次年度の課題になった。 リラクタンストルク付与形の高温超伝導誘導同期回転機の電磁設計を実施した。市販の3定格かご形誘導機の改造を想定し、固定子巻線(銅巻線)はそのまま使用することとし、回転子試作のための設計を実施した。まず、回転子鉄心ならびに同スロット形状を制約条件として、かご形巻線の電流容量を決定した。また、上記回転子鉄心に高温超伝導磁気遮蔽体を収める穴を設計して完成形状とした。穴の穿孔に際しては、既にモータメーカとの打ち合わせが終了しており、次年度に試作予定である。 上記したビスマス系高温超伝導バンドル導体との比較のため、高温超伝導バルク遮蔽体の形状を設計した。そして、実績のあるGd系高温超伝導バルク体について、決定した形状に加工依頼し、購入を完了した。次年度の初期に、特性評価を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高温超伝導磁気遮蔽体について、非線形通電特性や磁気回路の漏れ磁束他を考慮した定量特性評価にやや時間がかかっている。次年度には、設計に耐える定量評価が行えるようにする必要がある。また、試作用に改造するかご形誘導機について、回転子に穴を穿孔可能なものを選定するのに時間がかかった。ただし、上記解決の目途が立っていることから、次年度には着実な成果を上げる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、高温超伝導バルク体における磁気遮蔽特性の測定を実施する。特に、鉄心内と鉄心外における磁気遮蔽特性の違いについて検討を進める。また、上記高温超伝導バルク体の特性を、ビスマス系高温超伝導磁気遮蔽体の特性と比較検討し、磁気遮蔽特性の優劣を精査する。さらに、上記磁気遮蔽特性の定量評価に努める。 また、並行してリラクタンストルク付与形高温超伝導誘導同期機の試作を実施する。試作に際しては、市販の3定格かご形誘導機を使用する。固定子(銅巻線)はそのまま使用することとし、かご形回転子を改造(高温超伝導かご形巻線の施工、磁気遮蔽体の挿入・固定)する。シャフトのベアリングを、ローラーベアリングに交換し、極低温試験時に潤滑油を抜きやすくする。 試作機について、液体窒素浸漬冷却条件における各種試験(無負荷試験、負荷試験など)を実施し、本挑戦研究の優位性を検証する。 上記試験結果について、その定量性を電磁界解析に基づいて理論的に検証する。また、更なる高トルク密度化のための課題を、実験的かつ解析的に明確化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、まず高温超伝導モータの試作費に使用する。まず、既存の改造用回転子鉄心に磁気遮蔽体挿入用穴を穿孔するため、その加工費として使用する。また、シャフトのベアリングをローラーベアリングに交換する。 次に、試作機の特性評価のための消耗品購入費に使用する。まず、試作機を負荷試験装置に接続するためのカップリングや、モータ温度測定用センサーなどを購入する。なお、モータ試験ベッド他の装置は既設のものを利用する。 研究成果を発表するための旅費や学会参加費に使用する。
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