2012 Fiscal Year Annual Research Report
リラクタンストルクを有する究極の高温超伝導誘導同期機実現への挑戦
Project/Area Number |
23656199
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 武恒 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30303861)
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Keywords | 高温超伝導 / 誘導同期機 / リラクタンストルク / 磁気遮蔽 / 同期回転 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者らが開発している高温超伝導誘導同期回転機(High Temperature Superconductor Induction/Synchronous Machine: HTS-ISM)について、リラクタンストルクを付与する研究を実施した。HTS-ISMは、かご形誘導機と同様の構造を有しているものの、HTSかご形巻線を適用することによって同期回転可能である。そこで、上記回転状態において、回転子鉄心内に挿入したHTS磁気遮蔽体によってリラクタンストルクを発現させる構造の実現に挑戦した。 (H23年度) まず、HTS磁気遮蔽体の候補として、HTSテープ材(Bi系)とHTSバルク体(Gd系)を対象とし、基礎検討を実施した。その後、Gd系磁気遮蔽体に候補を絞り、電磁界解析を実施し、リラクタンストルク発現の可能性を確認した。さらに、Gd系磁気遮蔽体を設計し、購入完了した。 (H24年度)小出力機の設計・試作を実施した。その後、既存の銅固定子と組み合わせることによって、回転試験を実施した。特に、無負荷回転試験の温度依存性を詳細に測定し、Gd系高温超伝導バルク体およびBi系高温超伝導線材の常伝導転移に伴う一次電流や力率の変化を確認することができ、即ち上記2種類のHTS材料が共に回転特性に寄与することを明確に実証した。さらに、上記試作機について、有限要素法を用いた電磁界解析を実施した。その結果、Gd系磁気遮蔽体によるリラクタンストルクが、回転子鉄芯が緩やかな磁気飽和状態(高トルクが必要な状態)において自動的に発現するとともに、非磁気飽和状態(通常回転状態)では消失して、Bi系かご形巻線による高効率誘導同期トルクのみになる可能性を示した。一般に、リラクタンス回転機は低力率・低効率が課題であるが、本構造では、高トルクが必要な状態においてのみリラクタンストルクが発生する。
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Research Products
(4 results)