2011 Fiscal Year Research-status Report
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23656204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | negative refraction |
Research Abstract |
本研究は、トップゲートおよびバックゲートにより形成されたグラフェンpn接合を横断して弾道的に伝導するキャリアの特異な屈折現象を実験的に検証することを目的としている。本年度は以下の手順でデバイスを作製し、負の屈折率の検証を試みた。(1)単層グラフェンを用いてトップゲートとバックゲートの組み合わせでpn接合を作製する。(2)そのサイズが平均自由行程程度のサイズで負の屈折率を検証するデバイスを設計する。(3)定常状態でキャリアーの偏りを検知することで負の屈折率が成立する散乱条件を調べる。(4)負の屈折率の検証。 トップゲートの下に溜まった電荷にアクセスすることは簡単にはできないので電流端子の電極を1次元ナノリボンの電子領域にコンタクトさせるようにした。電子からホールへの変換は拡散的になされることで実現するためグラフェンナノリボンの導波路の長さは平均自由行程よりも長くした。逆に、屈折後のキャリアーは弾道的伝導をさせて電圧モニター端子でのキャリアーの蓄積を行うことで屈折方向を確認するため注入口からモニター端子までの距離は平均自由行程以下になるように設計しなければならない。またpn接合界面において急峻にポテンシャルを変化させる必要があるためトップゲート下に用いる絶縁体薄膜の厚さをできるだけ薄く、誘電率の高い材料を用いる方法でpn接合界面のボケを最低限におさえて界面領域での断熱的にホールから電子へ変化させる工夫を施した。電気測定の結果、全体的には負の屈折をしている傾向が見えたがフェルミ波長に相当する周期で正負のパターンが交互に現れたため、結論として負の屈折を確定することはできなかった。この干渉パターンのようなトップゲートおよびバックゲート電圧依存性は弾道電子(ホール)波がエッジで反射されて干渉パターンが生じている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想される問題点を克服してデバイス作製に成功した。pn接合で負の屈折をするという理論予想を決定的に証明することはできなかったが、かなりの見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
電子波の反射による干渉を押さえたパターンで再実験することと電子波(ホール波)の直接観測を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電極材料などの消耗品の購入や学会発表のための旅費を計画している。次年度の繰越額135,485円のうち134,820円については,3月に納品等があった為,4月末に支払われているものである。また,残高665円については小額であるため翌年に持ち越し消耗品購入費に加えて使用する計画である。
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Research Products
(6 results)