2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Keywords | グラフェン / pn接合 / ディラックフェルミオン / クライントンネリング / 負の屈折率 / ベセラゴレンズ |
Research Abstract |
これまでグラフェンのpn接合界面における電子(正孔)波の屈折、反射に関する実験をおこなってきた。電子波が接合界面に垂直に入射する場合、接合界面のポテンシャルが十分に急峻名場合に理論的な予測と一致する共振が観測された。入射波が界面に対して斜めに入射する場合は、特定の角度の方向に屈折した電子波(正孔波)のみが高い透過率を持つことが理論的に予測されているが実験的な実証がなされていなかった。このことを単一原子層のグラフェンで電気的に実証するためにトップゲートとバックゲートを使い分けて用意したpn接合の片側から細い線路を弾道的に電子(あるいは正孔)を入射させ、屈折後の弾道正孔(電子)の方位に応じて蓄積電荷を微細なコレクタ端子電圧として検知する方法で蓄積電荷分布を観測した。その結果負の屈折を示唆する電荷蓄積信号に加えて多重反射に起因すると思われる振動モードが重なる結果が得られた。これらの実験は比較的大面積の単一原子層グラフェンを必要とするためSiC基板上に形成したエピタキシャルグラフェンを用いて行ったが、SiC基板上のエピタキシャルグラフェンはバッファー層の影響で移動度がある程度制限されたものとなっている。そのためバリスティック長程度に制限されたデバイスサイズに多数の電極を詰め込まざるを得ない構造が不必要な多重反射を生じさせ、実験の解像度に影響を与えていたと思われる。今後このような不確定さを除外するため(1)移動度のより高いMgO上の剥離グラフェンを用いて同様な実験をおこなうか(2)多数のコレクタ電極への帯電効果を観測するかわりに屈折後の正孔波(電子波)を単電子プローブを用いて直接観測することにより明確な実証が得られるものと予測している。
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Research Products
(6 results)