2012 Fiscal Year Annual Research Report
レアアース生成を目指したガス放電励起・重水素貫流法による低エネルギー元素変換
Project/Area Number |
23656205
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山田 弘 岩手大学, 工学部, 教授 (60125482)
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Keywords | レアアース生成 / 多層膜パラジウム試料 / 重水素貫流法 / 荷電粒子検出 / 微量元素分析 / 金属薄膜電極 / CR-39 |
Research Abstract |
核反応による荷電粒子生成を視覚的に示す固体飛跡検出器CR-39の活用を中心に研究を進めた。荷電粒子により生成されたCR-39の飛跡損傷は水酸化ナトリウム溶液でエッチング処理することにより光学顕微鏡でエッチピットとして観察可能となる。 表面にLiを添加したNi単層薄膜板状Pd試料に軽水素ガスを貫流させると、CR-39で試料と直接対向する領域にのみ集中したエッチピットが観られた。また、直流1Aを流したNi単層膜Pd試料表面に添加されたLiの同位体存在比に変化が観られた。水素ガス貫流中に電流を流すことは核反応を誘起する上で有効と考えられる。重水素ガスを用いると、重水素ガスの流れる方向と反対方向に直流電流を流す場合に最も貫流効果が高いことがわかった。 並行して、Ni薄膜電極を用いて硫酸リチウム重水溶液の電気分解実験を進めた。23時間55分間20mAの直流で電気分解を継続し、その後5分だけ極性を反転させ、このサイクルを7日間続ける実験において顕著なエッチピットの増加が最も高い頻度で観られた。荷電粒子がアルファ粒子で、電解液と接するNi陰極表面から放出されたと仮定すると、そのエネルギーは4.0~4.6と5.3~9.1MeVと推定される。エッチピットの異常増加は重水溶液のみならず、水酸化リチウムと硫酸リチウムの軽水溶液の電気分解でも観られた。最も多数のエッチピットが観られたのは、水酸化リチウム軽水溶液で直流電流を24時間ごとにステップ状に上昇させ7日間電気分解を続ける場合である。 重水溶液の場合も含めると、エッチピットの異常増加は電解液にLiを含む場合に観られる。さらにガス貫流法の結果も含めると、試料にNiを含む場合にそれが観られる。すなわちLiとNiの組み合わせが低エネルギー核反応に深く関わっていることを示唆している。
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Research Products
(14 results)