2011 Fiscal Year Research-status Report
低環境負荷金属酸化物を用いた中間バンド半導体薄膜の開発と光電特性
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23656212
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森本 章治 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (60143880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川江 健 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30401897)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化鉄薄膜 / Bi系酸化鉄薄膜 / ショットキー接合 / 強誘電性分極誘起光起電力素子 / パルスレーザ堆積PLD |
Research Abstract |
福島第一原発事故に端を発するピークカットのための太陽電池への期待は益々高まっている。需要増に対応するため、安全でかつ安価な元素を用いた太陽電池材料開発が急務と考えられる。中でも、地球上に大量に存在する、安価で安全な金属を用いた金属酸化物は安定性に優れており、その電子物性の多様性を考えると、光電変換用半導体として利用することは極めて重要である。しかし、今のところ金属酸化物の応用は酸化銅、透明導電膜やワイドギャップ半導体に限られ、可視光領域での光電変換の研究はあまり無いのが現状である。 本研究では、金属酸化物半導体のバンドギャップ及び電気伝導度を制御するため各種元素を添加した金属酸化物薄膜をパルスレーザ堆積(PLD)法により合成し、新規光電変換用半導体材料を開発すると共に、ショットキー接合やpn接合を形成したり、近年注目されている強誘電体分極誘起光起電力素子を形成したりして、低環境負荷金属酸化物薄膜太陽電池へ応用することを目的とする。この際、変換効率向上のための中間バンド材料の創成も試みる。 先ず母体材料として不純物を添加しない純粋な鉄酸化物薄膜及びBi系酸化鉄強誘電体薄膜を選択し、パルスレーザ堆積(PLD)法により薄膜作製した。それらの作製にあたり、基板温度や酸素圧力を可変し、アモルファス・微結晶薄膜から結晶薄膜まで結晶性の制御や膜中に含有される酸素濃度の制御を試みた。さらに、これらの材料に対してNbやNdなどの不純物添加あるいはサイト置換により、光電特性・pn 伝導型の制御を行った。光学吸収測定により光吸収係数やバンドギャップを、電気伝導度測定により暗電気伝導度及び光電気伝導度などを評価した。太陽電池特性評価のため、各種金属電極を用いたショットキー接合や強誘電体分極誘起光起電力素子を作製して光生成キャリアの分離の試みを行った。詳細は次の通りである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先ず結晶化した酸化鉄(Fe2O3)薄膜については、光学ギャップの堆積時基板温度依存性を調べ、光学ギャップは基板温度の上昇に伴い1.9から1.5 eVに減少することがわかった。この結果から、α-Fe2O3は可視光を有効に吸収可能な材料であることがわかった。また電気伝導度の堆積時の基板温度依存性の結果より、全ての基板温度において光電気伝導度(65 mW/cm2程度に集光した白色光照射下)が暗電気伝導度に比べ1~3桁増加した。一方、n型半導体のα-Fe2O3において,Fe3+にNb5+を添加することによる電気伝導度の向上が期待され、実際にα-Fe2O3へNbを添加したところ、暗電気伝導度や光電気伝導度の増加が確認され、Nbによるドーピング効果を確認した。 次にNd添加BFO薄膜において強誘電性分極誘起光起電力効果の評価を行った。XRDパターンからBNFの(100)優先配向を確認した。また、強誘電特性評価測定により、リーク電流成分に起因した丸みが観測されるものの、強誘電性に由来したヒステリシスを観測した。分極反転可能な電圧を印加した際の暗状態及び光照射下における零点近傍の電圧-電流(J-V)特性より、Nd添加BFO薄膜の強誘電性分極誘起光起電力効果を観測した。|Jsc×Voc|を算出した結果、ノンドープBFOと比較してNd添加により3倍程度増加することを確認した。光照射下の測定は、下部電極に対してマイナスからプラスへの電圧スイープ(順電圧スイープ)と逆方向への電圧スイープ(逆電圧スイープ)により行った。 中間バンド形成の試みについてはまだ着手していないが、新たに作製した強誘電性分極誘起の光起電力素子については予想を上回る良好な特性が得られ、酸化鉄薄膜を用いた光起電力素子研究において大きな前進があった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を一部修正して、当面、進捗が著しい強誘電性分極誘起光起電力素子の開発にも注力していく予定である。また当初計画通り、中間バンド形成に向けた試みも開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度予算から移算した平成24年度使用額は0円なので、当初予定の通り、物品費と旅費で使用する予定である。
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