2011 Fiscal Year Research-status Report
極薄シリコン/シリコン酸化膜系による二次元量子構造発光デバイスの研究
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23656217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 瑞穂 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50157905)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | シリコン / シリコン酸化膜 / 発光デバイス / 量子井戸 / トンネル現象 |
Research Abstract |
シリコン・オン・インシュレータ基板上にナノメータ厚さのシリコン層を有するインジウムスズ酸化物/極薄シリコン酸化膜/極薄シリコン層構造デバイスを製作し、極薄シリコン層への電子のトンネル注入によるエレクトロルミネッセンス特性を測定した。約1120nm(約1.11eV)でピークを観測した。ピークは、フォノン介在間接遷移に起因する発光と考えられる。ピークは、印加電圧を増加させると長波長側(低エネルギー側)へシフトした。ピークシフトは、シュタルク効果により説明できる。約1120nm(約1.11eV)ピークの短波長側(高エネルギー側)のテイル発光強度が、シリコン層厚さが薄くなると増加することを見いだした。発光強度の増加は、価電子帯端と伝導帯端近くのサブバンド間遷移に起因することを示唆している。約1050nm(約1.18eV)と約1010nm(約1.23eV)で小さなピークを観測した。ピーク波長は、シリコン層厚さに依存しないことを明らかにした。エレクトロルミネッセンスは、欠陥介在遷移に起因することを示している。約700nm(約1.77eV)で幅広いピークを観測した。バルクシリコン基板上のインジウムスズ酸化物/極薄シリコン酸化膜/シリコン構造のエレクトロルミネッセンスにおいても観測した。エレクトロルミネッセンスは、欠陥介在遷移あるいはシリコン伝導帯内遷移に起因すると考えられる。ナノメータ厚さのシリコン層を有するインジウムスズ酸化物/極薄シリコン酸化膜/極薄シリコン層構造のエレクトロルミネッセンス特性を初めて明らかにした意義がある。約1120nmより短波長でのエレクトロルミネッセンスは、光配線発光部への応用上重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画におけるデバイス構造の製作、解析、発光特性の測定・解析についておおむね順調に進展している。デバイス構造の製作においては、シリコン層厚さが最も薄い厚さで1.2nmのデバイスを製作することに成功した。デバイス構造の解析においては、インジウムスズ酸化物薄膜の光透過率と導電率測定結果を解析し、インジウムスズ酸化物薄膜の形成プロセスを最適化した。発光特性の測定・解析においては、デバイスのエレクトロルミネッセンス特性を測定し、極薄シリコン層特有の発光を観測した。発光スペクトラムの印加電圧依存性を解析し、シュタルク効果を確認した。フォトルミネッセンス特性を測定し、エレクトロルミネッセンス特性と比較し、異なる発光スペクトラムを見いだした。デバイス構造のシリコン基板裏面に電極を形成し、電圧を印加することにより、ゲート電極‐表面コンタクト電極間の電流が増加し、発光強度が増加することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を研究計画通りに遂行する。発光特性のシリコン層厚さ依存性の解明を継続して推進する。特に、発光スペクトラムのシリコン層厚さ依存性を解明し、シリコン層におけるサブバンドの形成を明らかにする。発光特性のシリコン酸化膜厚さ依存性の解明を行う。特に、発光スペクトラムのシリコン酸化膜厚さ依存性を解明し、シリコンへ注入される電子の励起状態、高効率電子注入を明らかにする。発光メカニズムの解明を行う。特に、発光特性の解析結果を基に、極薄シリコン層特有の発光のメカニズムを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費がある。研究計画調書に、今年度の設備備品費として真空蒸着装置の費用を記載した。研究の進行状況に応じて、エレクトロルミネッセンス特性をより安定に測定するために、今年度は設備備品費としてマイクロプローバーの費用に研究費を使用した。マイクロプローバーの費用は真空蒸着装置より少ないため、主に真空蒸着装置とマイクロプローバーの費用の差に相当する次年度使用予定の研究費が生じた。次年度に請求する研究費と合わせて、エレクトロルミネッセンス特性をより高感度で測定するために、次年度の設備備品費としてイメージング分光器の費用に研究費を使用できる。他の研究費は、研究計画の消耗品費、旅費、謝金、その他に使用する。
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Research Products
(2 results)