2012 Fiscal Year Annual Research Report
極薄シリコン/シリコン酸化膜系による二次元量子構造発光デバイスの研究
Project/Area Number |
23656217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 瑞穂 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50157905)
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Keywords | シリコン / シリコン酸化膜 / 発光デバイス / 量子井戸 / トンネル現象 |
Research Abstract |
シリコン・オン・インシュレータ基板を用いてナノメータ厚さのシリコン層を有する透明インジウムスズ酸化物/極薄シリコン酸化膜/極薄シリコン層/埋込酸化膜/シリコン基板構造デバイスを製作し、極薄シリコン層への電子トンネル注入によるエレクトロルミネッセンス特性を測定した。シリコン層厚さが1.1nm~2.9nmのデバイスから、バルクシリコンバンドギャップ(1.12eV)より大きいエネルギーのブロードなピークの発光を観測した。ブロードピークは、シリコン層の薄膜化に伴って高エネルギー側にシフトするピークと、シリコン層厚さに依存しないピークに分離された。ピークエネルギーがシリコン層厚さに依存するピークは、二次元量子構造の量子準位を介した発光と考えられる。シリコン層厚さに依存しないピークは、シリコン/シリコン酸化膜界面近傍トラップを介した発光と考えられる。シリコン層厚さが1.1nm~28.5nmのデバイスの外部量子効率を測定し、外部量子効率のシリコン層厚さ依存性を明らかにした。シリコン層の薄膜化に伴い、効率が高くなることを初めて見いだした。これは、シリコン層バンド構造が間接遷移から準直接遷移に移行していることを示唆している。シリコン層厚さが2.9nmでの効率は約2%と高い値が得られた。しかし、シリコン層厚さが2.9nmより薄くなると効率が低下した。ナノメータ厚さのシリコン層を有するインジウムスズ酸化物/極薄シリコン酸化膜/極薄シリコン層/埋込酸化膜/シリコン基板構造の外部量子効率のシリコン層厚さ依存性を初めて明らかにした意義がある。バルクシリコンバンドギャップより大きいエネルギーでのエレクトロルミネッセンスは、光配線発光部への応用上重要である。
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