2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノ凝集界面によるコレステリックブルー相の安定化と高速ディスプレイ応用
Project/Area Number |
23656221
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 雅則 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50204186)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コレステリックブルー相 / 金属微粒子 / 光Kerr効果 / 偏光無依存光変調 |
Research Abstract |
三次元螺旋周期構造を有するコレステリックブルー相(BP)の安定化を図り、高速応答性偏光無依存光変調デバイスの開発を目的として研究を行った。先ず、BP液晶の実用化の最大の問題であるBP発現温度範囲の拡大を試みた。手法としては、我々が提案した金属ナノ粒子分散法、すなわち、金、銀、パラジウムなどの金属ナノ粒子をBP液晶に添加することでBPの発現温度範囲を拡大する方法を用い、本年度は、金ナノ粒子の濃度を変化させた場合のBPの発現温度範囲について検討を行った。その結果、BPの発現温度範囲は金ナノ粒子の濃度の増大に伴って拡大することを確認した。また、比較的粒子濃度が低領域においては、BP IIの発現温度範囲がBP Iに比べてより大きく拡大されているのに対し、ある程度以上粒子を添加するとBP IIが消失しBP Iのみの発現温度範囲が拡大することが明らかとなった。BP IIは本来BP Iに比べて不安定であることを考慮すると、金ナノ粒子の濃度が低い場合は安定化効果を顕著に受けるが、濃度が高くなると再びBP IIが不安定になり消失したものだと考えられる。上記安定化手法を用いて、これまで提案したBP液晶の光学的等方性を利用した偏光無依存屈折率変調素子の特性改善を試みた。特に、動作特性の改善のために、駆動周波数により誘電異方性が反転する二周波駆動液晶を用いて屈折率変調範囲の拡大を検討した。また、高分子安定化による屈折率変調範囲の拡大も検討し、特に、光重合時に電界を印加して、前もって格子をひずませることによる特性改善方法を提案し、その有効性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コレステリックブルー相液晶の実用上最大の問題であるBP発現温度範囲の拡大を、金属微粒子の分散により達成し、その詳細な条件を明らかにしている。さらに、偏光無依存光変調素子を作製し、二周波駆動という新し駆動方法を導入することにより屈折率変調範囲拡大に成功しており、おおむね今年度の目的は達成されたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、微粒子分散によりBP液晶の安定化を図ったが、さらに、高分子安定化手法も検討し、偏光無依存屈折率変調の変調範囲拡大を進める。具体的には、今回予備的な成果を出した、光重合時の電界印加方法の詳細を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、金属微粒子の分散によるBP液晶の安定化が当初予想以上に効率的に結果を得ることができ材料費等の出費を大幅に抑えることが可能となった。そこで、次年度は、当初予定してる波長チューナブルデバイスの作製において、現在長高速応答性を確認しつつあるコレステリック分散がたデバイスの作製も含めて研究を推進する。
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