2011 Fiscal Year Research-status Report
微粒子拡散制御に基づく空間3次元表示型の新方式ディスプレイの基礎研究
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23656228
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮下 哲哉 東北工業大学, 工学部, 教授 (10239402)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 微細粒子 / 3次元 / 表示 / スモーク |
Research Abstract |
本研究は、次の三つのテーマについて検討した。第一は空間中の微粒子による光の拡散特性の解明と制御である。第二は空間3次元像の形成に使うスモークを射出する方法の検討である。第三は、投写によって3次元画像を作り上げるために必要なデータの生成とその確認である。これら理論的な解析と実験結果をもとに、空間に画像を作り出す3次元ディスプレイに必要な理論と基盤技術の確立を行うことを目的としている。第一のテーマについて、スモークガスについて、光の拡散に関わる物理的な諸特性を調べた。また、生成条件や生成装置の違い、材料となる液体の違いについて測定・評価した。この結果、水にグリセリンを入れて表面張力を下げた液体を使うことにより、消散までの時間が長く光学変化の少ないスモークの生成に成功した。並行して理論的に数値計算によって光の散乱挙動について解析を行った。この結果、特定の角度に強い光が出ていくことが示された。この角度は円錐状に均一な特性を示すため、これに基づく光学像の構築については検討が必要であることが明らかになった。これに関する光学計算ソフトウェアで数値計算を行えるようにする部分については、2次元面内の計算に止まっており、引き続き作成が必要である。第二のテーマに関して、空間にリング状のスモークを形成して射出する実験を行い射出速度と形状の解析には一定の成果が得られた。しかしリング径を小さくすると、形状を維持することが困難であることが分かった。空中を進行する速度に依存することから、スモーク濃度とガスの送出量の制御による可能性を探る。また第三のテーマについては、複数の画像を生成する部分と、簡単な予備実験を行うための光学系を組み、第一、第二のテーマの成果に基づいて展開できるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務先が変わったため、当初予定の実験設備が使用できず、実験の準備のための環境整備に時間がかかることと、震災の影響でランダムになった文献などの整理などが必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ガスの射出装置を工夫して、微粒子の移動速度、空間的な拡散特性、光の拡散特性を調べ、それらの関係がリング移動との関係を調べる。実現できる範囲で良い条件を明かにして、実験に用いる条件を確定する。このスモークを用いて生成した部分の光学測定をすると共に、妥当性を理論的にも検証する。これらの成果に基づいて、第三のテーマを行う。空中に微細な光の拡散源がある場合に、3次元画像を映し出すために必要なプロジェクタ画像について検討する。角度毎に異なる画像を射出する場合、各プロジェクタに必要な画像の計算方法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
微細なリング状のスモークを発生させるためのガスの流れを自在に制御する実験装置の組み上げとともに、実験ではスモークの材料が鍵であるため、引き続き消耗品として補充すると共に、空気の流れを制御する部品を電気的な制御装置を組み合わせて作る。また、アルコール類の有機薬品は洗浄用に使用して、実験条件を整える。投写のための機材についても自作が必要であるため、必要な光学部品を購入する。
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