2011 Fiscal Year Research-status Report
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23656231
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
白石 和男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90134056)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 偏光子 / テラヘルツ / サブ波長格子 / 異方性エッチング |
Research Abstract |
1.インプリント法によるテラヘルツ帯用偏光子の作製方法の開発 三角溝の格子をもつ金型を用いて、樹脂基板にサブ波長格子を転写し、その格子上に金薄膜を成膜して偏光子を作製する方法を開発した。テラヘルツ帯において挿入損失0.5dB、消光比40dB以上の、従来にはなかった良好な特性をもつ偏光子を実現することができた。 特性をさらに向上する方法として、樹脂基板の両面にサブ波長格子構造偏光子を形成する方法を考案し、実際に金型を用いて作製することができた。消光比は測定限界以上(60dB)の高い値が得られ、提案の有効性を実証することができた。2.多重格子構造による近赤外域用サブ波長格子構造偏光子の開発 シリコンウエハ上に異方性エッチングを用いて三角断面サブ波長格子を形成し、その上にアルミとアモルファスシリコンの交互膜を形成して二重および三重格子構造から成る偏光子を作製した。近赤外域で特性を評価したところ、消光比が20dB(測定器の測定限界)以上、挿入損失が1dB程度の良好な偏光子を得ることができた。これらの特性は、既存の偏光子では実現できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、インプリントにより高性能偏光子を得ることができた。さらに、高性能となるように、基板両面に偏光子を形成する方法を考案し、その有効性を実証できた。 近赤外においては、多重波長格子を創案し、数値計算および実験でその有効性を実証できた点が高く評価できると考えている。なお、この成果を発表した大学院生が、電子情報通信学会から2011年度学術奨励賞を受賞し、本研究の成果が高く評価されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インプリント法によるテラヘルツ帯用高性能偏光子の開発 消光比は実用上十分であるので、今後の課題は挿入損失を0.1dB程度にすることが課題である。数値計算結果によると、格子形状をこれまでの三角形から正弦状にすることで達成できると予想している。2.多重格子構造による近赤外域用サブ波長格子構造偏光子の開発 近赤外でも挿入損失をさらに低減することが課題である。多重格子にする際に用いるアモルファスシリコンの吸収を低減化することが課題である。また、テラヘルツ帯用偏光子開発で用いたインプリントの技術を適用を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インプリントに用いる金型(50~90万円)、シリコン基板への異方性エッチング微細加工費(40万円前後)、およびテラヘルツ帯での特性測定依頼費(10~20万円)を予定している。
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