2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656231
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
白石 和男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90134056)
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Keywords | 偏光子 / サブ波長格子 / 中赤外 / テラヘルツ |
Research Abstract |
中赤外域での光学特性実証:シリコン結晶基板上に周期2.4μm、高さ1.56μmの三角形状サブ波長格子を形成し、その上にアルミニウム薄膜およびアモルファスシリコンから成る多重格子構造サブ波長偏光子を作製した。単層、二重、および三重のサブ波長アルミ薄膜格子構造偏光子が実現できた。光学特性を測定した結果、単層の場合には挿入損失が7dB程度と大きく、消光比は12dBと低く、特性の悪い偏光子であった。しかし、二重、三重と多重化することにより、波長10-20μmにおいて実質の挿入損失が2dB以下、消光比が40dB以上を実現することができた。これらの特性は従来の偏光子では実現できない良好なものであり、本研究の大きな成果である。さらに、使用したシリコン基板の厚さを0.5mmから0.3mmと薄くし、同時に基板両面に偏光子を形成する方法を考案した。現在、基板両面にサブ波長格子を作製すた段階まで進めている。 テラヘルツ帯正弦形状サブ波長格子構造偏光子のインプリントによる作製:三角形より正弦状断面格子の方が理論的に優れた光学特性を持つことを明らかにしており、実験的な検証を行った。三角断面形状の格子表面をスポット加熱ランプで加熱軟化させて正弦状に変形させ、正弦状断面サブ波長格子を作製することができた。しかし、金属として金の薄膜をスパッタリングで作製する際に、金のターゲットが消耗して穴が開き、バッキングプレートの銅が混入して失敗した。今後、金のターゲットを準備して再実験を行う予定である。なお、本研究遂行過程で、金属薄膜サブ波長格子構造が、吸収の小さいハーフミラーとして動作することも新たに見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中赤外域用の金属薄膜サブ波長多重格子構造偏光子を作製することができ、かつそれが理論的に予想していた通り高性能であることを示すことができた。得られた性能は、従来の偏光子では実現できないものであり、高く評価している。また、金属薄膜サブ波長格子構造がテラヘルツ帯において、良好なハーフミラーとして応用できることを新たに見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
中赤外域用偏光子: 従来使用していた厚さ0.5mmのシリコン基板から0.3mmと薄くし、かつ基板両面に偏光子を形成することにより、基板裏面でのフレネル反射損失の防止と基板中での吸収損失低減化をはかる。この新しい高性能偏光子を実用化できるまで完成度を高める予定である。 テラヘルツ帯用偏光子: インプリントによる、正弦状断面をもつ金のサブ波長格子構造偏光子を作製し、挿入損失を0.1dB程度まで低減化させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
テラヘルツ帯での分光透過特性を評価するには、測定器を保有している企業に有料で測定を依頼しなければならない。研究費をこれに充てる予定である。
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