2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656231
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
白石 和男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90134056)
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Keywords | 偏光子 / サブ波長格子 / 中赤外 / テラヘルツ |
Research Abstract |
中赤外域用偏光子: 挿入損失の低減化を2つの観点から進めた。一つは、基板自体の吸収損失(約2dB)の低減化であり、他の一つは基板裏面での反射損失(1.55dB)の低減化である。前者については、昨年度まで使用していたシリコン基板の厚さ0.5mmを、0.3mmと薄くすることで対応した。後者については、基板の裏面にも偏光子を形成することで対応した。その結果、作製した三重の金属薄膜多重格子構造サブ波長偏光子は、波長15μmにおいてTM偏光損失(挿入損失)2.0dB、TE偏光損失(消光比)35dB、波長18μmにおいてTM偏光損失1.0dB、TE偏光損失32dBの高特性を得ることができた。これらの特性は従来の偏光子と比較して格段に優れたものであり、大きな成果である。さらに、金属薄膜間の中間層にアモルファスシリコン酸化膜を用いれば偏光子自体が反射防止構造として機能することを見出し、挿入損失は0.5dB以下にできること、また金属としてAlに替えてAuを用いると偏光子特性がさらに改善することを見出し、将来さらなる発展が期待できる見込みを得た。 テラヘルツ帯用偏光子: 量産性に優れたインプリント法による作製法の研究を進めた。格子周期を従来の30μmから25μmに、金属(Au)膜厚を20nmから25nmにすることにより、2THzにおいてTM偏光損失(挿入損失)0.2dB以下、TE偏光損失(消光比)50dBの高特性を得た。従来のワイヤーグリッド型偏光子では、これらの数値はそれぞれ3.5dB, 25dBであるので、挿入損失は3.3dB(透過率が45%から95%以上に)改善し、消光比は25dB(316倍)改善し、格段に優れた特性を得た。テラヘルツ帯では金属としてAuを用いるよりもAlを用いた方がより高特性が期待できることを見出したため、金属種を変更することでさらなる高性能化が期待できる見込も得た。
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