2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物内へのpH制御デバイス挿入による新規成長促進システムの開発
Project/Area Number |
23656235
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
河合 晃 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (00251851)
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Keywords | バイオチップ / 植物育成 / pHコントロール / プロトン濃度 / 微細加工 / レジスト材料 / マイクロポンプ / 生体適合性 |
Research Abstract |
植物にとって親和性の良いpH値をもった溶液を供給することで、植物成長や水分吸収の補助・促進できることを確認した。実際には、植物内の各部位(根、葉、茎)におけるpH値の勾配を測定し、挿入デバイスのコントロール範囲を明確にした。具体的には、ショ糖はショ糖-プロトン共輸送体と呼ばれる組織を介して篩細胞へ輸送されるため、このプロトンの濃度勾配によるエネルギーがショ糖の篩部細胞への輸送の駆動力になっている。観葉植物のポトスの場合、水の流路である木部と、栄養分の流路である篩部が、茎の中央部分で密集して存在し、この流路の密集部分は、茎の外周部と比べてpHが約0.1低いことを改めて確認した。このpHの差によって、栄養分を篩部へ輸送していることを見出した。また、ポトスの根はすべての測定点でpH:6.5であった。土壌のpHも6.5であった。茎部分はpH:6.0~6.5を示し、根のpHよりも若干酸性度が強くなることを再確認した。木部と篩部の集まる維管束の中央部は、外周部に比べてpHが約0.1低かった。これらのpHの差が植物中の物質輸送と関係していると考えられる。この維管束内でのpH値の制御を挿入デバイスにより行い、実質的なコントロールの可能性を確認できた。これまで、様々な食用および観葉植物および種子について、デバイス挿入実験を実施した。デバイスを内部に挿入し、ショ糖の導入に成功した。これらの人為的な刺激による育成実績により、種子を取りだし、新品種の確保に至るプロセスを検討した。また、植物の成長モニタリングには、既存設備であるガスクロマトグラフィを用いた成長に伴うガス分析による手法と、赤外線カメラによる植物表面の温度変化を測定する手法を導入した。研究期間の最後として、本研究の総括を行い、さらなる実用化への発展を積極的に推進できる見込みを達成できた。
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Research Products
(15 results)