2012 Fiscal Year Research-status Report
モンテカルロ法・分子動力学法融合型次世代電子線リソグラフィシミュレーションの開発
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23656245
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安田 雅昭 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264807)
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Keywords | 電子線リソグラフィ / モンテカルロ法 / 分子動力学法 / 電子線露光 / 現像 / レジスト |
Research Abstract |
電子散乱のモンテカルロ法と分子動力学法を組み合わせた電子線リソグラフィシミュレーションの開発を行った。電子線露光過程は非弾性衝突の結果としてのポリマーの主鎖切断を導入することによりモデル化を行なった。また、その後の現像過程をモデル化した。電子線レジストはポジ型のポリメタクリル酸メチルを対象とした。 まず、従来型の電子散乱のモンテカルロ法により、電子照射によるレジスト薄膜中のエネルギー吸収分布を求めておき、分子動力学法の一定の時間ステップごとにその空間分布で重みを付けてレジストを構成するポリマー分子の主鎖切断をランダムな位置に導入することでレジスト薄膜の露光過程を再現した。 次に、リソグラフィにおける現像過程を電子照射後のレジスト薄膜内の分子量分布を基にモデル化した。電子照射後のポジ型のレジスト薄膜は電子照射の及んだ領域のみ分子量の低下が見られる。電子線リソグラフィでは、この分子量の低下した領域が現像過程によって除去される。そこで、分子量の小さな分子から順に除去しながら、分子動力学法により構造緩和することで現像過程を再現した。 開発した電子線リソグラフィの分子シミュレーションによりレジストパターンの形成過程を解析したところ、分子レベルのラフネスをもつパターン構造を再現することができた。また、電子線露光で形成されるレジストパターンの加速電圧依存性の解析においては、加速電圧によるラインエッジラフネスの大きさの違いが確認された。 開発したシミュレーションは電子線リソグラフィにおけるナノスケールのパターン形状評価に有力な解析ツールとなることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の実施項目として掲げたポリマー分子の主鎖切断導入による電子線露光過程とその後の現像過程のモデル化は終了した。開発したシミュレーションを用い、電子線リソグラフィの分子レベルのパターン形成解析を行い、成果を学会において報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は現像過程のモデルの改良とシミュレーション実施によるデータの蓄積を行なう。 現在の現像過程モデルでは分子の現像液界面からの距離は考慮せず、分子量の小さい順にレジスト中の分子を同時に溶解させている。そこで、レジスト分子の現像液界面からの距離に依存した溶解モデルを導入することにより改良を行う。すなわち、レジスト分子は現像液との界面に近い分子から順に溶解して行き、現像が進行して新たな界面が形成されるとその形成された界面に近い分子が次に溶解することになる。この現像液界面から順にレジスト分子が溶解するモデルを導入することにより現像シミュレーションの精度を改善する。 次に開発したシミュレーションにより、露光条件(加速電圧や露光量など)と現像条件(現像液の溶解性と現像時間など)をパラメータとし、形成されるパターン形状やラインエッジラフネスの解析を実施し、データの蓄積を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレーションの開発はほぼ完了したため、次年度はそれを用いた解析とデータの蓄積を実施する。そのため研究費は、データ整理と保存のためのパソコン、メモリ、ハードディスク等の物品費、技術補助員の雇用、成果発表のための学会出張旅費、学会参加費、論文掲載料に使用する。
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Research Products
(6 results)