2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656252
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
坪根 正 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (50334694)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 最適化 / 粒子群 / スパイク / ニューロン |
Research Abstract |
本研究では,高次元のスパイキグニューロンを利用し,従来では対処不可能であった複雑な情報処理に取り組むものである.群知能を利用して,様々な問題の最適化を行うための非線形手法を開発し,スパイキングニューロンによるハードウェ化を目指し工学的応用へ向けた考察を行うことを目的としている.そのために,粒子群最適化手法をスパイキングニューロンで実現するためのモデルを確立して,システム設計への応用例を示すことを目指す.これに対して平成23年度は,先行研究で実現している高次元スパイキングニューラルネットワークを基にして,群知能による最適化手法をモデル化した.本システムは非同期型の離散時間ニューロンモデルを基礎としおり,カオスダイナミクスを利用した探索動作の実現により,従来よりも簡素なモデルで高性能な最適化手法の実現への可能性を示すことに成功した.基本ダイナミクスの確認のために回路実験でのデータ収集をミックストシグナルオシロスコープ(当研究経費によって購入)によって行い,非線形力学系の呈するカオス解析,カオスシステムの合成,安定性評価,分岐解析等に使われる技術を利用して有効性を裏付ける解析結果を得ることが出来た.また,最適化のために必要なスパイク信号の時間による変調方式を実現するためのスパイク間隔密度スペクトルを制御する新しい手法の開発に成功し,実装回路に検証実験やクラスター計算機を利用した大規模計算によってその有効性を示すことに成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り,本研究の最も重要な部分であるスパイキングニューロンによる群知能による最適化手法のモデル化は達成した.想定していたスパイク密度変調による結合形態とは異なるモデルとなったが,カオスダイナミクスを利用することで確率項を含まないにも関わらず多様な探索を可能にし,想定していたモデルよりも有効と思われるモデルを提案することが出来た.また,スパイク密度変調に関する新しいスパイク間隔密度スペクトルの制御手法の開発に成功し,順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には,当初予定通りハードウェア化を念頭においた実験および解析を進めることで目標達成可能である.昨年度までの成果により決定論ダイナミクスによる多様な探索が可能になったため,ハードウェア化に対してのアドバンテージを有している.また,スパイク間隔密度スペクトルの制御手法の開発に成功したため,この知見を応用してシステムの改良も進めることが出来る.想定していたモデルとは多少異なるダイナミクスのモデルであるため,大域的な検証を行うためには当初計画のディジタル回路による実装のみでは不十分な可能性があるが,アナログ回路による検証実験を実施することで問題なく解決できる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の成果を受けてシステムを実装し実験を行う.まず,既に先行研究で実現している高次元スパイキングニューロン回路に基づいて,最適化手法を構築する.高次元ダイナミクスの実装には,プログラマブルなボードやクラスタ計算機を利用する.ニューロンのダイナミクスとしては高次元モデルの区分定数化システムを利用し,非同期型とすることで多様性を持たすことが出来る.また,ディジタルベースの実装によりデジタルスパイクの生成も容易である.提案する群知能のダイナミクスが大域的に安定であるために,スパイク密度や個体の解軌跡を制御する必要があるが,これは前年度に提案した制御手法が適用可能である.これらの検証にはアナログ回路の実験を行う.回路の性能については,呈するスパイクによってある程度の評価が可能である.前年度に購入したミックスドシグナルオシロスコープを利用する.これらの回路実験のための回路部品および計算機を購入予定である.また,研究に関する情報収集および研究成果を公表するための旅費と費用にも利用する.
|
Research Products
(2 results)