2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
櫛引 淳一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50108578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 元孝 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00333865)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 超音波マイクロスペクトロスコピー技術 / 薄膜 / 音響特性計測 / 不純物 / 欠陥 |
Research Abstract |
所望の特性を有するガラス薄膜を作製するためには、評価、ならびにその結果をプロセス改善のためにフィードバックすることが重要となる。本研究では、直線集束ビーム超音波材料解析(LFB-UMC)システムを用いた漏洩弾性表面波(LSAW)の伝搬特性(音速、減衰)計測により、ガラス薄膜の評価、すなわち薄膜中の不純物、欠陥、ならびに残留歪みの評価の可能性を検討する。ガラス薄膜としてSiO2膜およびTa2O5膜を取り上げ、その不純物、欠陥、残留歪みによる構造の変化を弾性率変化として計測し、バルク基板に対する測定結果を参考にしながら、それらの関係を明らかにする。 本年度の成果は以下のとおりである。(1)試料の作製:RFプレーナマグネトロンスパッタ装置により、ガラス基板上にSiO2薄膜を約6μm製膜した。線膨張係数(CTE)が異なる基板として、ソーダライムガラス、合成石英(SiO2)ガラス、TiO2-SiO2超低膨張ガラスを用い、基板温度を130℃、200℃として、製膜を行った。LFB-UMC システムによる測定値は、薄膜だけでなく基板の特性も反映する。また、ガラス基板は製造プロセス条件を反映して、ロット間あるいはロット内で特性が異なる。膜作製前に、予め、音響特性を測定した。また、RFイオンビームスパッタリング(RF-IBS)装置により、SiO2薄膜、Ta2O5薄膜、およびSiO2/Ta2O5多層膜を作製した。(2)LFB-UMCによる評価法の開発[1] 複素V(z)曲線解析法の開発:LFB-UMCシステムにより、各試料のLSAW伝搬特性を計測する。測定原理に忠実に計測を行うことが可能である複素V(z)曲線解析法を検討した。[2] 測定および検討:LFB-UMCシステムにより各試料のLSAW伝搬特性の周波数特性を測定した。基板のCTEの違いによる差を捉えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RFイオンビームスパッタリング法により、2枚のSiO2基板上にSiO2/Ta2O5多層膜を成膜し、そのうちの1枚を熱処理した。LFB-UMCシステムにより漏洩弾性表面波(LSAW)速度の周波数特性を測定することにより、熱処理によるLSAW速度変化を捉えた。また、SiO2とTa2O5の単層膜を作製し、LFB-UMCシステムにより評価した結果、多層膜の熱処理による弾性率、密度、透過率の変化は、主に、Ta2O5膜の特性変化によるものであることがわかった。 また、異なる基板上に作製したSiO2膜に対して、異なる基板温度の基板と薄膜のCTEの違いに起因して、基板温度によるLSAW速度の差が異なることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基板の種類の他に、RFパワーやガスの混合比などのパラメータの異なる膜を作製するとともに、熱処理を行い、熱処理前後の特性変化を比較する。 測定値の違いの原因をバルク基板に対する特性との比較により、検討する。また、ガラスの特性は熱履歴にも依存する。熱処理前後の特性変化に着目し、ラマンスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定により薄膜の仮想温度ならびに構造変化を調べる。 膜中の不純物、欠陥、残留歪みにより、弾性率の変化とともに、弾性波の減衰が大きくなることが予想される。薄膜中の減衰を考慮したLSAW伝搬特性解析プログラムを作成する。残留歪みの影響により、基板の垂直方向と水平方向の弾性定数が異なると予想する。薄膜を異方性固体として取り扱い、測定値の解釈について検討を行う。 従来法による評価と比較する。プリズムカプラ法により屈折率を測定する。金属不純物を誘導結合プラズマ発光分光分析法により分析する。OH濃度は赤外吸光分光法により分析する。電子スピン共鳴装置により欠陥分析を行う。分光光度計を用いて薄膜の透過率を計測する。ラマンスペクトルの測定により、構造解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、ガラス基板に200,000円、薬品に50,000円、液体窒素・ガス類に50,000円、ターゲットに100,000円使用する。 旅費として、成果発表旅費に100,000円使用する。 人件費・謝金として、研究補助に50,000円、外国語論文の校閲に50,000円使用する。 その他の経費として、研究成果投稿料に60,000円、学会参加費に20,000円、ガラス試料研磨料に120,000円、分析依頼料に200,000円使用する。 次年度使用額のうち、3月までに納品をしたが、4月に支払いが行われるものもある。また、その残りの額については今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の推進に使用する予定である。
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