2012 Fiscal Year Annual Research Report
電気二重層の空間フィルタリングを利用したマイクロフローセンサー
Project/Area Number |
23656266
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鳥越 一平 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (40134663)
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Keywords | マイクロフロー / 電気二重層 / インピーダンス |
Research Abstract |
<平成24年度> 平成23年度に製作した,ドライフィルムとリソグラフィーによる微小流路は,電極チップとの密着性が不十分であることが判明した.このため,PDMS(シリコンゴム)の型取りによって流路を作製するプロトコルを確立し,鋳型も微細切削加工によって作製した.ガラス基板チップをファウンドリーサービスで作製し,さらにFIB装置を用いて電極パターンを形成した.平成23年度に製作したアラインメント装置によって,電極チップとPDMS流路を貼り合わせ,流速測定実験を実施した.流速をゼロと一定値の間でスイッチし,このときの電極インピーダンス変化を計測すると,流速値とインピーダンス変化分がほぼ線形関係にあることが確認された. <研究期間全体> 微小な流路に接する電極のインピーダンスが,流路を流れる電解液の流速とともに変化することを確認した.特に,電場と流れが平行であるか垂直であるかによって,電極インピーダンスが異なる変化を示すという興味深い現象が確認された.電極インピーダンスの変化分は,流速に対してほぼ線形であったが,インピーダンスの絶対値は,流速が一定でも種々の外乱のためにドリフトする傾向を示した.このことは,外乱の影響を除いて流速を測定するには,時空間フィルタリングが有効であることを示唆している.しかし,インピーダンスの絶対値に対して変化分が小さいため,当初計画していた時空間フィルタリング法の実験を行うには至らなかった.これは,当学で保有するFIB装置で微細加工できる領域が非常に小さく,電気二重層と流れの相互作用が発生する領域が,電極全体中でしめる割合が小さいためである.今後,より大きな面積に電極パターンを製作する機会をとらえて,実験を継続することを計画している.
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