2011 Fiscal Year Research-status Report
アルゴリズムモデルに基づくダイナミカルシステムの解析・設計法の開発
Project/Area Number |
23656271
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒江 康明 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10153397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯間 等 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70273547)
森 禎弘 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40273544)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ダイナミカルシステム / 解析・設計 / システムモデル / アルゴリズム / シミュレータ / カオスシステム / 遺伝子ネットワーク / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
最近のシミュレーション技術の著しい発展により、ありとあらゆるシステムの計算機シミュレーションが可能となってきている。本研究の目的は、この事実に着目し、シミュレータを対象システムのモデル、すなわちアルゴリズムで表されたモデルとして捉え、これを対象としてダイナミカルシステムを解析、設計する方法を開発することである。初年度の今年度は、次のように研究をすすめた。従来の解析、設計におけるモデリングは二つの段階がある。第1段階は出来るだけ現実のシステムに忠実な比較的複雑なモデルで,これはシミュレータの開発に用いられる。また、第2段階は解析・設計に用いることができるようさらに理想化、簡単化されたモデルである。本研究において、最初から第1段階のモデルを対象とするのは非常に困難であると予想されるので、まず簡単なモデルである第2段階を対象とし、次のようにすすめた。これまでダイナミカルシステムの第2段階の数学モデルに対して開発されてきた解析・設計法に対し、シミュレータをアルゴリズムモデルとみなした場合に、それらの解析・設計法を、直接、計算機アルゴリズムとして実現する方法の基礎的な検討を行った。具体的には次の3つの問題を扱った。1.ハイブリッドシステムとしてモデル化できる遺伝子ネットワークを対象とし、その解析・設計法を検討しそのためのアルゴリズムを導出する方法を検討した。2.カオスシステムを対象とし、カオス状態を安定周期状態に遷移させる安定化制御器に設計のためのアルゴリズムを導出する方法を検討した。3.ニューラルネットワークを対象とし、モデル内包学習の学習アルゴリズムを系統的に導く方法を検討した。以上で導いた解析、設計アルゴリズムは、それぞれのシミュレータを用いて容易にかつ系統的に実現する方法となっていること、また第1段階のモデルにも適用できる方法を含んでいることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の今年度においては、まず従来の数学モデルである第2段階の簡単な数学デルを対象として、これらよりシミュレータをアルゴリズムモデルとみなした場合に、その解析と設計法を直接導く方法を検討し、3つのシステムの解析、設計問題に対して、具体的な方法をアルゴリズムとして導いた。導いた方法は、従来の数学モデルを基づいて導く方法では導けない解析、設計法も含んでおり、より拡張性、汎用性の高い方法になっていることが確認できている。また、今年度に得られた知見を活かすことにより、本来の目的である第1段階の数学モデル、あるいはシミュレータすなわちアルゴリズムモデルを対象とした解析、設計法の開発に十分取り組めるものと考えられる。したがって本研究は、おおむね予定通り進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の検討を基にして、これまでハイブリッドダイナミカルシステムの第2段階の数学モデルで開発されてきた解析、設計法を、シミュレータで用いられている第1段階の数学モデルに対して適用するための方法の検討を本格化する。さらに対象システムの第1段階の数学モデルに対して、従来開発されてきた解析・設計法が適用できるよう、解析・設計法を拡張する。また、シミュレータで使われる第1段階のモデルに対する解析、設計法を具体的に計算機アルゴリズムとして開発する方法を研究する。取り扱うシステムの対象も徐々に広げ、一般のハイブリッドダイナミカルシステムを扱えるように検討する。また、この時どのような解析、設計の問題を扱うかが問題となるが、当面は、安定解析法、このステム特有の問題である動作モード解析法、および制御系の設計法に焦点をしぼり、そのための解析、設計アルゴリズムを導く方法を検討する。研究が進展すれば、さらに解析、設計の範囲も広げる。その上で、導いたアルゴリズムが第2段階の数学モデルをもとに開発された方法が取り扱うことができなかったモデルの特性が扱えるようになることを示す。すなわちシミュレータで用いている第1段階のモデルの振る舞いを完全に考慮した解析、設計が行えることを示す。以上のようにして得られた知見をもとにして、ダイナミカルシステムのアルゴリズムモデルからシステム解析・設計のアルゴリズムを導くための方法論を一般化し、研究を完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の目的は、アルゴリズムモデルに基づいて、ダイナミカルシステムを解析、設計するための方法を開発することであり、これを遂行するためには適切な計算機とソフトウエアの導入が不可欠となる。当初は今年度にこれらの一部を導入する予定であったが、当面は現有の計算機とソフトウエアで研究が遂行できることが分かり、またより研究を発展させるため、より高機能な計算機とソフトウエアを導入することが望ましく、そのためには今年度導入するより、よりバージョンアップされた計算機とソフトウエアを次年度に或る程度まとめて導入する方が、研究遂行上、また予算の有効使用の観点から良いとの判断に至った。そのため、その相当額を繰り越すことにした。したがって次年度では、予定していた予算に繰越金を加え、これらの設備を導入するとともに、研究成果の発表、研究動向調査、資料収集のため国内旅費、海外旅費として研究費を使用する。また、資料整理のため、謝金にもあてる。
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