2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656273
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬部 昇 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (90216549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オプティカルフロー / 非線形カルマンフィルタ |
Research Abstract |
オプティカルフローとは, 画像中の物体の移動量を表すベクトルのことである. これまで, 画像中の1点に対して物体の並進運動だけでなく, 回転・拡大も同時推定する方法を提案してきた. 平成23年度は, これまでに提案していたオプティカルフローとその空間勾配を同時に推定する方法を, 稠密推定と呼ばれる領域内のすべてのピクセルに対してオプティカルフロー推定を行う方法に拡張した. これは複数点のオプティカルフロー方程式を一つの動的システムとして扱うことに相当する. 一方, 単にまとめるだけでは状態数が大きく推定計算に時間がかかる, 動的システムとしての可観測性が成立しないなどの問題が生じるため, これらを克服するような動的モデルの提案を行った. 基本的なアイディアは推定するフローの解像度を下げて推定を行う点にある. さらに, 提案手法は非線形カルマンフィルタを用いた方法であるため, 推定値の時間更新においてモデルによる予測値と実測値の違いである観測残差を評価できる. この観測残差の評価を用いることで, 物体の境界も同時に推定できる可能性があることを示した. これらの成果について国際会議にて発表を行った.また, 理論的な稠密推定モデルの提案と並行して, グラフィックス処理プロセッサ(GPU) を数多く実装したグラフィックスボードを用いた並列計算による実時間処理を目指したプログラムの開発も行った. 実画像の取り込みと基本的な処理の実装まで行った. 今後は並列処理などの高速化の検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動的システム論に基づく1点におけるオプティカルフロー推定法を, すべてのピクセルにおける稠密推定に拡張を行った. この拡張により, オプティカルフロー推定の精度向上の鍵となる, フローの不連続性の検出も原理的に可能であることを示した. 稠密推定への拡張は, 本年度の大きな目標であったので, これを達成で北野で概ね順調である. また, 不連続性検出の可能性を示せたことは, むしろ予想を上回る進捗と言える. 一方, 成果発表は国際会議1件のみであり, 早急に雑誌論文に投稿したい.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたオプティカルフローの不連続性検出をオプティカルフロー推定の精度向上に用いて, より高精度なオプティカルフロー推定の理論構築を目指す. 具体的には, カルマンフィルタで得られる観測残差と推定誤差共分散の情報を用いて, 推定値の空間的平滑化により精度の向上を目指す. また, 数値流体の観点から, 予測推定の精度向上についても研究を行う. 具体的には, カルマンフィルタの予測更新における数値積分の精度を向上させるため, 計算格子の時空間刻みを変化させることを考える. また, 理論普及のためには, デモシステムの開発が重要であることは再認識したので, 実画像を用いた検証実験ができるシステムをの開発についても精力的に取り組みたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外における国際会議に残念ながら採択されなかったため, 旅費の一部を繰り越す形となった. 次年度以降, 国際会議での成果発表の回数を増やし, 推定理論の普及に努めたいと考えている. また, 本年度中の研究成果については, 早急に論文誌へ投稿を行いたい.
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Research Products
(2 results)