2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656273
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬部 昇 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (90216549)
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Keywords | オプティカルフロー / 非線形カルマンフィルタ |
Research Abstract |
オプティカルフローとは, 画像中の物体の移動量を表すベクトルのことである. これまで, 画像中の1点に対して物体の並進運動だけでなく, 回転・拡大も同時推定する方法を提案してきた. 平成23年度には, 稠密推定と呼ばれる領域内のすべてのピクセルに対してオプティカルフロー推定を行う方法に拡張した. この際, 動的システムとしての可観測性が成立するように,推定するフローの解像度を下げて推定を行うことを提案した.しかし,平成23年に提案した方法では,解像度は原画像の 1/2 の解像度に固定していた.今年度は,この解像度を下げる割合を 1/2 よりさらに下げることを提案し,この解像度の低減によって本手法の欠点の一つである計算量の問題を低減することを検討した.カルマンフィルタの推定計算における計算量が状態のほぼ 3 乗に比例し, 解像度の 6 乗に比例することから, 解像度を下げ推定すべき状態数を減らすことは計算量削減に大きなメリットとなるはずである.実際に数値実験により, ほぼ理論通りの計算量低減が実現でき,かつ,推定精度の劣化もほとんどないことが確認できた.本成果については,次年度以降に学会発表を行う予定である. 今年度は,推定値の時間更新においてモデルによる予測値と実測値の違いである観測残差を評価し,物体の境界も同時に推定する方法の実現についても研究を行った.フローの境界が推定できる可能性については数値実験によって確認した. しかし,境界の推定をオプティカルフローの推定自体に再利用し,フロー推定値の高精度化を行う点についてはあまり進捗がなかった.この点については次年度以降も引き続き研究を行う予定である. また, は並列処理などの高速化の検討も引き続き行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非線形カルマンフィルタを用いたオプティカルフロー推定の大きな利点の一つとして,フローの境界(つまり物体の境界)をフロー推定と同時に推定することが可能な点である.そして,オプティカルフロー推定の難しさは,物体境界における処理の難しさが原因となっているため,境界の同時推定はフローの推定精度の向上に大きく貢献するはずである.この推定精度の向上が本研究課題の一つの大きな課題である.残念ながら, 検出可能性についての検証は進んでいるものの,推定した境界のフロー推定精度の向上への利用については滞っている.この点を最終年度である次年度は進捗させたいと考えている. 一方,提案手法の欠点である計算量の問題については,推定解像度を下げることで低減できることが成果として得られた.これは実時間推定を実現する上での成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
非線形カルマンフィルタを用いたオプティカルフロー推定の大きな利点の一つとして,フローの境界(つまり物体の境界)をフロー推定と同時に推定することが可能な点である.そして,オプティカルフロー推定の難しさは,物体境界における処理の難しさが原因となっているため,境界の同時推定はフローの推定精度の向上に大きく貢献するはずである.最終年度である次年度は,特にこの課題について重点的の取り組み,従来のオプティカルフロー推定法に対しての優位性を確固たるものとすることを目指す.また,今年度の成果として推定解像度と計算量の関係が得られた.物体境界のように高解像度推定を必要とする部分とそれ以外の部分で,動的に推定解像度を変更する方法を検討するなど,計算時間低減と高解像度推定をバランスした推定法の研究にも取り組みたい. また,これ以外の課題についても,これまでに得られた成果を順次発表,投稿論文としてまとめていくことを考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度までに得られた成果も含めて,研究成果を国際会議などで発表し,非線形カルマンフィルタを適用した推定理論の普及に努めたい.また,雑誌論文等の成果としてまとめたい.そのための経費として研究費の使用を考えている.
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