2012 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッドシステムの制御問題に対する制約プログラミングを用いた方法論の開発
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23656274
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
延山 英沢 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (50205291)
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Keywords | 制御系設計 / ハイブリッドシステム / 最適化 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は,連続時間系のダイナミックスとスイッチングなどの切り替えや論理式などとが混成した制御システムとしてのハイブリッドシステムを対象とし,制御系設計問題などの制御問題を,制約プログラミング問題として定式化した上でソルバーを用いて数値的に解くという手法を開拓し,ハイブリッドシステムに対する新しい方法論として展開していくための萌芽的な研究を行うことを目的しており,本年度は前年度に得られた結果をさらに進めることを中心に行った. 具体的には,連続時間ダイナミックスに対して応答が早いがオーバーシュートが出てしまうフィードバックゲインと応答は遅いがオーバーシュートが出ないフィードバックゲインの二つを用意し,出力の位置によりそれらを切り替える制御系設計を行い,目標出力との重み付き誤差を最小化する問題が混合整数計画問題となることを示した.その問題を解くことにより,応答の初期では速いフィードバックゲイン,途中からオーバーシュートがないフィードバックゲインに切り替えることにより,応答が早くオーバーシュートが生じない応答を得ることができた.また,混合整数計画問題を解くための分子限定法を用いた独自ソルバーの開発もさらに進め,初期暫定解を選定と枝刈りの順序を見直すことにより,前年度に比べて大きな問題を解くことができるようになった.また,米国の連携研究者が開発した制約プログラミングのソルバーと市販されているソルバーとの比較評価を行うため,ベンチマーク問題を用いて線形計画問題などの様々な問題を解くことを共同で行った.そして,その結果を論文としてまとめ,連携研究者が国際会議において発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終的な目的は,連続ダイナミックスと論理式との混成からなるハイブリッドシステムに対する制御問題を,制約プログラミング問題として定式化しソルバーを用いて数値的に解くという手法を開拓し,ハイブリッドシステムに対する新しい方法論として展開していくための萌芽的な研究を行うことであり,具体的には,連続ダイナミックスと論理式等との混成モデルに対する制御問題を制約プログラミング問題として表現する標準形の考案と,その標準形の解を求めるソルバーの開発を制約プログラミングのソルバー開発を行うことである. この目的に照らし合わせ,本年度は前年度の結果をさらに発展させ,出力切り替え型フィードバック系の切り替え位置最適化という具体的なハイブリッドシステムに対する制御系設計問題を解く音ができ,前年度に比べてさらに一歩目的に踏み込むことができたものと考える.また,混合整数計画問題に対する分子限定法を用いた独自のソルバーの開発を進展させることもできたといえる.さらに,連携研究者が開発した制約プログラミングソルバーの評価を行いその成果を国際会議で発表したことも前年度の比べての進展である.これらの結果は,本研究の目標に前年度よりもさらに近づくものであり,本研究の2年目としてはおおむね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の特徴は,制御工学を専門とする研究代表者と,制約プログラミング問題のソルバーを開発した海外連携研究者が共同で行うことにあり,お互いが深く議論をして進めることが重要である.そのため,今後もこれまでと同様に,電子メールによる意見交換をすると同時に,互いに訪問することにより直接議論を行うなど,互いの成果についての情報交換を行いながら研究を進めていく.そして,これまでと同様に,研究代表者が理論的考察などを行うのを中心に行い,海外連携研究者は自ら開発したソルバーの拡張を行っていく.そして,研究目的を達成するために,共同してお互いの成果を合算していくという方策をとる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,海外連携研究者との密な議論を行うために相互に訪問する予定にしていたが,連携研究者の訪問のみにとどまったことと,ソルバー開発のための謝金を計上していたところを研究者自らが行ったため謝金の支出がなく残額が生じた.この残額を次年度の研究費と合算し,研究代表者と連携研究者が互いに訪問するための旅費や学会に参加するための旅費として使用する.また,研究成果を発表するための学会参加費等に利用する.
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Research Products
(1 results)