2012 Fiscal Year Research-status Report
土木構造用GFRPの微生物劣化の評価方法に関する研究
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23656283
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
西崎 到 独立行政法人土木研究所, 材料資源研究グループ, 上席研究員 (80355792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨山 禎仁 独立行政法人土木研究所, 材料資源研究グループ, 主任研究員 (50370721)
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Keywords | FRP / 微生物 / 劣化 |
Research Abstract |
近年土木構造用途での適用が広がりつつあるFRPに、微生物によるものと疑われる変状が認められる場合が確認されたが、これら微生物の影響の実態は解明されていないのが現状である。そこで本課題では、微生物による変状が疑われる事例(FRP構造物・供試体)を用いて、顕微鏡的な手法を中心に微生物の影響を調査するものである。 現に微生物の影響を受けていると考えられる(あるいは疑われる)FRP構造物・供試体をリストアップし、8種類の構造物・供試体から、述べ10種類のサンプルを採取した。これらは、肉眼観察からは、①黒い点状の変状、②一面の黒い汚れ様の変状、③黄色い粒状の変状、④褐色の変状の4つに分類された。 これらを実体顕微鏡および生物顕微鏡でより詳細に観察した結果、①の黒い点状の変状は実体顕微鏡で網目状の構造が、生物顕微鏡ではカビ胞子と思われるものが観察され、黒コウジカビによる可能性が示唆された。また、②の黒い汚れ様の変状は、生物顕微鏡では生物によるものであることが示唆される結果が得られるとともに、実体顕微鏡からは、肉眼で観察されなかった白色の胞子状のものが新たに発見された。③の黄色い粒状の変状は、生物顕微鏡によりカビ胞子と思われるものが観察された。④の褐色の変状は、実体顕微鏡により、FRPの樹脂劣化によるものであり、微生物付着ではないことが確認された。この他、コケ(ダイダイゴケ、ムカデゴケなど)の付着も肉眼により観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に採取した試料の肉眼観察による分類・整理を行うとともに、デジタル実体顕微鏡、生物顕微鏡などにより、その多くがカビによるものと考えられることを明らかにするとともに、それらの観察・分類結果をひととおりの成果としてとりまとめ、外部への研究発表を実施するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、H23年度に微生物劣化が疑われる構造物・供試体の観察画像の採取を進め、H24年度にはこれらの結果を整理分類するとともに、顕微鏡を始めとする手法との比較を行い、微生物劣化の有無の判定手法としてまとめる予定であった。しかし、H24年度の研究の結果、多くの微生物原因がカビであることが疑われる結果が得られ、培養試験を実施してカビの同定試験を実施することが重要であることが分かった。このため、研究をH25年度まで延長するとともに、カビの形態および遺伝子による同定に経験・実績のある研究者を分担研究者として追加して、研究を推進する方針としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サンプルの追加採取作業。 カビの形態観察および遺伝子による同定試験。 研究成果のとりまとめ・公表。
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