2011 Fiscal Year Research-status Report
音響学的考察に基づくコンクリート部材の劣化度診断技術の高度化
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23656284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 基行 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 振動試験 / 加振器 / 周波数伝達関数 / 波形処理 / 音響 / 音色 |
Research Abstract |
本研究課題は,振動試験データに基づきコンクリート部材の音色を聴く技術を構築し,これをコンクリート部材の健全性評価に応用するものである.具体的には,(1)加振器を用いたコンクリート部材の強制加振試験 (ハードウェア技術開発),(2)周波数伝達関数に基づくコンクリート部材の音色の再生 (ソフトウェア技術開発),(3)音色の変化に着目したコンクリート部材の健全性評価 (アプリケーションへの応用)を検討する.平成23年度は,上記(1)(2)について重点的に取り組んだ.平成23年度の研究によって得られた成果を以下に示す.(1)加振器を用いたコンクリート部材の強制加振試験 導電式加振器を用いた強制加振試験の方法を考案し,道路橋のコンクリート床版とコンクリート主桁の現場試験を行った.その結果,提案する振動試験方法は,既存技術と比較して高い試験精度を有することが確認できた.さらに,加振器周りの局所的な振動特性の評価も可能となり,着目する部位の周波数伝達関数を得ることができた.(2)周波数伝達関数に基づくコンクリート部材の音色の再生 上記(1)の強制加振試験によって得られる周波数伝達関数の逆フーリエ変換によって時刻歴の波形データ(以下,元波形)を作成し,これをオーディオファイル (RIFF waveform Audio Format) に書き換えるソフトウェア技術を構築した.さらに,元波形を用いて平均律に基づく音階と旋律を合成することにより,コンクリート部材の周波数特性や音響特性を人間の耳に聞き取りやすい音色や音楽として再生することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に取り組む前に行った基礎研究の成果が優れていたため,当初の計画以上に研究が進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は,(1)加振器を用いたコンクリート部材の強制加振試験 (ハードウェア技術開発),(2)周波数伝達関数に基づくコンクリート部材の音色の再生 (ソフトウェア技術開発),(3)音色の変化に着目したコンクリート部材の健全性評価 (アプリケーションへの応用)に取り組む. このうち(1)(2)は平成23年度に技術的な基盤を築いており,平成24年度にはこれらの技術のさらなる高度化を目指す.また,平成24年度には,上記(3)の検討を新たに開始する.具体的には,鉄筋コンクリート部材の供試体を作製し,凍結融解試験と鋼材腐食促進試験を実施する.これらの鉄筋コンクリート供試体の振動試験を行い,劣化レベルと音色の変化を整理する.そして,音色の変化に着目したコンクリート部材の健全性評価の可能性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成24年度請求額とあわせて,次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である.
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Research Products
(14 results)