2013 Fiscal Year Annual Research Report
音響学的考察に基づくコンクリート部材の劣化度診断技術の高度化
Project/Area Number |
23656284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 基行 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124591)
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Keywords | 構造工学 / コンクリート工学 / 振動工学 / 音声合成技術 / 健全性評価 |
Research Abstract |
本研究課題は,加振器を用いた周波数スイープ試験によってコンクリート部材の周波数特性を精緻に計測し,波形データを処理することによって人の耳に聴き取りやすい音色を再生する.さらに,コンクリート部材の音色の変化に着目して,損傷度判定を試みるものである.これまで載荷や鋼材腐食によって生じたコンクリート部材のひび割れに対して,共振周波数,減衰定数,高次モードの周波数比の変化を整理した.さらに,周波数特性 (周波数-応答加速度関係,位相特性) のデータを速度スペクトルに変換して波形処理することによって,音色を再生することができた.特に,単音で聴く場合よりも旋律に乗せることによって,音程や音色を容易に判定することができた. 棒部材の縦振動など,健全時にモードの周波数比が整数倍になる場合には,旋律を奏でた際にストレスなく音色や音程を聴くことができた.しかし,損傷を受けた場合には,モードの周波数比の調和が崩れるため,不快な和音が聴こえた.また,部材の形状と損傷状況によっては音程や減衰が大きく変化するため,澄んだ音色が濁った低い音に変化することも確認できた. 健全時のモードの周波数比が整数倍になる棒部材の縦振動や,単純ばりのたわみ振動などに対して,本提案技術を用いて音色や音程を聴き取り,その変化から構造物の損傷を評価できる可能性が示唆された.特に,地震などの大きな力の作用によって部材に大きなひび割れが生じた場合などには,損傷度判定が容易に行えると考えられる.
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