2011 Fiscal Year Research-status Report
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23656293
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 基樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20261597)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 浸透破壊 / 破壊基準 / パイピング / 土砂流失 / 要素試験 / 陥没事故 |
Research Abstract |
地盤中の土砂の流失機構を実験的に検討するための,基礎的要素実験装置を開発した.装置は三軸試験装置供試体中に,下部から立ち上げた開口部を有する管路を置き,管路に水流を流すことによって,土砂流出を生じさせるもので、実験パラメータとしては,拘束圧かけた状態で管路内の流速,流量を両端に水頭差をつけることによって制御できるものである.実験では一定の応力状態のもとで,軸ひずみ・間隙水圧・土粒子の流出量を計測し,土砂流出が生じる条件,進行的な破壊の様子を把握することができるものである.流失した土粒子の量は,途中でタラップされて電子台はかりによって計測できるようになっている. 開発した同装置を使って、豊浦砂を供試体として、土粒子の流失を生じさせる実験を管路から水が供試体に流入する条件と管路に水が流入する二つのタイプの実験を実施した。実験では、土粒子の流失量と供試体の軸変形などを計測し、土の流失による供試体の破壊変形状況を調べた。その結果、土粒子の流失による土の破壊を生じさせることができただけでなく、破壊には1)局所的にパイピング状の破壊を起こす場合と2)要素全体が壊れるような破壊形態があることがわかった。前者は、拘束圧力が高い場合に生じ、後者は比較的拘束圧が低く、有効応力が小さい場合に生じることまでわかっている。現在、実験条件を種々の条件のもとに行って、破壊形態の分かれる条件、破壊のトリガーや進行の状況に着目した実験を行っている。 なお、平成23年度中に発表された論文・学会発表は無いが平成24年度に発表予定の投稿中のものがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由は、1)要素試験装置によって、予定通りに土要素中の土粒子流失を発生させ、破壊を起こすことができたこと2)流失した土粒子を補足して定量的に計測できるようになったこと3)流入側と流出側の間隙水圧を計測することによって、動水勾配を正確に把握できること、および圧力を制御することによって流量・流速を制御できることなど,当初、予定していた実験計画の基本的な部分ができたと判断したからである。ただし、震災の影響で実験室が使用できるようになるまでに時間を要したため、年度の後半での研究活動が多くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に開発した装置を用いた本格的な実験を行い,再現性を含め,現象の普遍的な理解を進める。実験パラメータとしては,土の代表粒径,拘束圧,密度,土質,開口部の大きさ・位置,管路内の流速,流量を考えている. また、平成24年度には新たに、境界値問題として,盛土地盤中に敷設された地中埋設管路が破損して,開口部が生じた場合の流失破壊実験を行う。空洞の発達量は,土砂の流出量を計測するとともに,地表の変状をビデオカメラおよびレーザ変位計で計測する.また,流出部管路前後の間隙水圧を計測し,局所的な動水勾配の変化を計測する.さらには,管路のひずみも把握し,空洞の潰れによる埋設管の応力の変化も検討する.土砂の流失の進行に連れて,現象が加速度的に進行する過程を追いかけることができるような仕組みを検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度には,境界値問題として,盛土地盤中に敷設された地中埋設管路が破損して,開口部が生じた場合の流失破壊実験を行うための実験装置を作成する。また,実験に必要な消耗品,研究成果発表旅費などにも使用する予定である。なお、23年度に要求額に対する残額が発生した理由は,震災の影響で実験室が使用できるようになってからの研究活動が多くなったため、3月時点での会計執行ができなかったためである。この残額は、24年度当初に24年度分と合わせて執行する予定である。
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