2012 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国で利用可能な堆肥化と発電を同時に行える土壌微生物電池の開発
Project/Area Number |
23656299
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大嶺 聖 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60248474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安福 規之 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20166523)
HEMANTA Hazarika 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00311043)
MD.AZIZUL MOQSUD 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40464408)
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Keywords | 微生物電池 / 有機系廃棄物 / 嫌気発酵 / 堆肥化 / 発電 / 稲 |
Research Abstract |
特殊な薬剤や高価な材料を用いずに微生物代謝による有機物分解の促進を行うために,活性炭や炭素繊維を用いた微生物電池の適用を行った。刈草や生ごみなどの様々な有機物をコンポストにする過程で微生物電池としての電力が発生することが確認された。微生物電池の正極にラップをして,内部の有機物ができるだけ嫌気条件となるようにすることで電力を向上させることが明らかとなった。 さらに,植物の光合成によって根から生産される様々な有機化合物が微生物により無機物に分解され,そのときに発生する余剰電子により発電が行われることを応用した新エネルギー「植物利用型微生物燃料電池」の研究開発を進めている。この中で,稲の栽培における微生物電池について実験を行った。その結果,稲の生長に伴い約0.5Vの電圧および20mW/m2程度の電力が発生することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機物の嫌気分解に伴う微生物電池の性能を明らかにすることができた。また,有機物分解後の試料が肥料としての成分を有することが示された。そのため,発展途上国での適用が期待される。さらに,稲の栽培における微生物電池の適用性についても,実験的に検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
植物は光合成を行うことにより,根から様々な有機化合物を生産するが,この有機化合物が微生物により無機物に分解され,そのときに発生する余剰電子により発電が行われることを応用した新エネルギー「植物利用型微生物燃料電池」の研究開発が期待されている。特に,稲の栽培で水田からの発電は大規模に行える可能性があることから,わが国でも将来の新たなエネルギーとして有望な手法である。 植物(稲)による微生物電池については,発展途上国だけでなく,復旧の遅れている東北での農地での適用(試験研究)が望まれる。 一方,有機廃棄物から得られるバイオガスを利用する際に良質の堆肥が発生する。バイオガスと微生物電池を組み合せることで新たな技術開発の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発展途上国で利用可能な微生物電池と堆肥化の実験を行う。 植物利用型微生物燃料電池を稲栽培に適用する場合,大規模の発電を行うことができる。そのためには,安価な電極の開発が必要である。微生物燃料電池の性能の向上を目指し,0.1W/m2の発電が可能になれば水田1ha当たり1kWの電力が得られ,実用化に近づく。そのため,電極については材料の組合せの最適化とスケールアップを行う。また,安価な電極を用いた植物利用型微生物燃料電池の開発と稲栽培への適用を行う。
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