2011 Fiscal Year Research-status Report
地球温暖化が地盤環境に及ぼす影響に伴う海成粘土の間隙再発達とメカニズムの検証
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23656300
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
日野 剛徳 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 准教授 (20295033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 錦春 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20284614)
加 瑞 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究機関研究員 (60598845)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地球温暖化 / 地盤環境 / 海成粘土 / 土構造 / 構成式 |
Research Abstract |
有明海沿岸低平地域から堆積当初の海成粘土を採取し、直ちにその酸化還元電位、pH、塩濃度を簡易測定した。さらに、同粘土の物理化学的性質を調べた。これらの内容は、本研究に掲げる仮説の立証のための基礎的情報となり、重要である。 本研究では、上記の基礎的知見を得た海成粘土と種々の程度で塩分溶脱させたものに対し、粒度調整を施した貝化石および珪藻遺骸を種々のパターンで添加・混合し、所定の荷重で再圧密、一次圧密終了を見極め、同試料を切りだしてフリーズドライし、そのEPMA分析、XRD分析、間隙径分布測定および電子顕微鏡観察を行うことで、海成粘土における間隙の再発達メカニズム、さらには同メカニズムが海成粘土地盤の沈下・変形問題に及ぼす影響の程度を見極めることにチャレンジしようとするものである。この手始めとして、今年度は純粋カオリン粘土に塩分および珪酸ナトリウム(珪素イオン)を所定の量添加し、この処理過程までの物理化学的諸挙動を確かめるとともに、しかる後に石灰ならびにセメントを添加して強度発現ならびに間隙構造の形成に関する検討を行った。結果として、珪酸ナトリウム100g/L程度までのケイ素イオン濃度であれば本研究の狙いとする強度や間隙構造が再現できるが、これ以上の添加量の場合は強度の低減を始め間隙構造が保てないなどのことがわかった。これらの知見は本研究を進めていくうえでまったくの盲点であって、今後の研究を正しく導いてくれる重要な知見が得られたといえる。 他方、FEM解析に用いる種々の構成則において、土構造の概念がどのように取り扱われているかを再整理するための一環として、高間隙構造を有する自然状態の有明粘土上に築造された盛土の挙動を具体的事例に掲げ、種々の構成則の長所短所を見極めるための検討を行い、審査付論文として受理・掲載される段階に達している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
珪酸ナトリウム100g/L程度までのケイ素イオン濃度であれば本研究の狙いとする強度や間隙構造が再現できるが、これ以上の添加量の場合は強度の低減を始め間隙構造がうまく保てないなどのことがわかった。これらの知見は本研究を進めていくうえでまったくの盲点であって、今後珪藻遺骸を具体的に添加する際の目安となる貴重な情報を得ることができた反面、成果の公表が計画から多少後半にずれ込んでいる。しかしながら、全体の研究計画における影響は極微であり、問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者・日野は、平成24年度の総括を行うとともに、有明海沿岸低平地域から堆積当初の海成粘土を採取し、直ちにその酸化還元電位、pH、塩濃度を簡易測定する。かつ、海成粘土の物理化学的性質を求める。さらに、海成粘土中の貝化石と珪藻遺骸の含有量を無定形シリカの定量分析、XRD分析および走査型電子顕微鏡観察を行って定性・定量的に求める。 日野および研究分担者・加は、以上の基礎的知見を得た海成粘土と種々の程度で塩分溶脱させたものに対し、粒度調整を施した貝化石および珪藻遺骸を種々のパターンで添加し混合する。しかる後に同試料を所定の荷重で再圧密する。同試料の一次圧密終了を見極めて、同荷重のもとで所定の期間放置する。同試料を用いて段階載荷型および定ひずみ圧密試験を実施する。各圧密試験における圧密過程もしくは終了後の試料を切りだしてフリーズドライし、そのEPMA分析、XRD分析、間隙径分布測定および電子顕微鏡観察を行う。平成23年度に生じた次年度使用額はEPMAの分析数を増やすのに供する。 他方、研究分担者・柴は、FEM解析に用いる種々の構成則において、土構造の概念がどのように取り扱われているかの再整理を継続する。種々の構成則の長所短所を明らかにし、実験に認められる現象と構成則との間の整合性を図るための問題点と方法の抽出を行う。 日野・柴・加は、上述の研究の間、国内外の代表的低平地域における海成粘土研究の動向について調査し、成果発表して意見交換を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者・日野:物品費\200,000、旅費:\200,000、平成23年度に生じた次年度使用額\304,715。平成23年度に生じた次年度使用額\304,715はEPMAの分析数を増やすのに供する。EPMAの分析費用は1検体あたり\50,000程度。 研究分担者・柴:物品費\200,000、旅費\200,000 研究分担者・加:旅費\200,000、その他\100,000。その他\100,000の具体的な内訳は成果投稿料等。
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Research Products
(4 results)