2011 Fiscal Year Research-status Report
近赤外同時多点分光技術を利用した次世代漂着ゴミ連続モニタリングシステム
Project/Area Number |
23656309
|
Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
日向 博文 国土技術政策総合研究所, 沿岸海洋・防災研究部, 室長 (70272680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 智哉 国土技術政策総合研究所, 沿岸海洋・防災研究部, 研究員 (70553767)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 漂着ゴミ / 近赤外線イメージング分光 / CIELUV色空間 / 五島列島 / 稚内 / 酒田 / 輪島 / 対馬 |
Research Abstract |
本研究の目的は,同時多点分光が可能な近赤外線イメージング分光器等を利用した種類別漂着ゴミ量連続モニタリングシステムの開発に挑戦することである.特に近年有害化学物質を含んでいる事が明らかになったプラスチック漂着ゴミを他の漂着ゴミと識別する技術を開発することである.本年度は,五島列島での近赤外線イメージング分光器を利用した漂着ゴミ撮影の実施,およびプラスチックゴミ識別アルゴリズムの精度検証用のプラスチックゴミ(トゥルースデータ)の採取を行った.さらに,現地撮影時における近赤外線イメージング分光器の取り扱いやセッティングの困難さらか判断し,より簡便でより安価なプラスチックゴミ識別技術として,プラスチックゴミの色に着目した可視画像解析に基づく手法の開発を並行して行った.プラスチックゴミの色を定量化するための色空間としてCIELUV色空間を用いた.まず,何枚かの漂着ゴミ撮影可視画像を用いてプラスチックゴミに対応する画素のRGB値をCIELUV色空間の座標(L*, u*, v*)値に変換し,プラスチックゴミのカラーリファレンスを作成しておく.実際には,日射角度・量に応じて同じ色でも色空間内での値が変化してしまうため,作成したカラーリファレンスは色空間内では楕円体となる.そして,様々な時刻に撮影された漂着ゴミ画像のRGB値を(L*, u*, v*)値に変換し,各画素の(L*, u*, v*)値が予め決めておいたカラーリファレンス内に位置するかどうかを判断することによって,各画素に写っている物体がプラスチックゴミかどうかを決定する.この手法を北海道稚内市,山形県酒田市,石川県輪島市および長崎県対馬市で撮影された漂着ゴミ可視画像に適用したところ20%の誤差でプラスチックゴミを他の漂着ゴミ(流木等)や背景(岩,砂,植生)から識別可能であることが確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近赤外線イメージング分光器による撮影とトゥルースデータの取得は行ったが,近赤外画像を用いた識別アルゴリズムの開発には及ばなかった.ただし,より簡便で安価な可視画像を用いた識別アルゴリズムを開発し,その精度検証まで行うことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
近赤外線画像を用いた識別アルゴリズムと可視画像を用いた識別アルゴリズムの比較を行う.いずれかのうち優れた手法を用いて漂着プラスチックゴミ量の連続モニタリングの実施とゴミ量変動のメカニズムについて検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度についても計画に近い形で予算を執行する予定であるが,連続漂着ゴミ量の撮影場所(当初は五島列島)については,研究の進捗状況に応じて決定する.
|