2012 Fiscal Year Annual Research Report
安定ゲーム概念に基づく自律分散型の交通システム制御法
Project/Area Number |
23656310
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤松 隆 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90262964)
|
Keywords | 交通計画 / 自律分散制御 / 安定性 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,バスや鉄道システムに典型的に見られる運行不安定性を解消する「自律分散型制御」の設計法を示すことである.その方法の理論的基盤となるアイディアは,制御問題で実現したい状態(e.g., 定時隔運行状態)と「安定ゲーム」の均衡状態を対応付けることである.この提案理論を用いれば,システムの構成要素(e.g., バス車両,鉄道列車,道路信号機)に課すべき「行動ルール」を系統的に設計できる.そして,その設定されたルールに基づいて各要素が自律分散・適応的に行動した集積的状態が,実現したいシステム状態に安定的に収束する.本研究では,このアプローチをバス・鉄道の運行安定化問題,および,道路交通における信号制御・混雑制御問題に適用し,各問題に対する自律分散型の制御法を開発する.そして,その制御法の効率性と頑健性を検証する. 平成24年度は,平成23年度に開発した確定論的なプロトタイプ・モデルに確率論的な枠組を導入し,さらに路線条件等の前提条件をより一般化した理論を構築した.より具体的には,まず,バス・鉄道システム問題に対して,a) 状態方程式に確率的ショック項を追加したモデルの定式化,b)確率論的な状態変化に対応した制御安定性条件の導入,c) 複数路線での相互作用を考慮した最適制御問題の定式化;を行った.そして,その問題に対する安定性条件および最適制御ルールの特徴を明らかにした.また,道路ネットワークにおける通行権取引を用いた交通需要管理問題に対して,前年度までに開発された理論を確率論的な枠組に一般化した.より具体的には,利用者集合が日々変動する確率論的な状況下においても,観測情報に基づく自律分散・適応的な通行権配分スキームによって,効率的な交通流配分状態を頑健に実現できることが示された.
|
Research Products
(13 results)