2012 Fiscal Year Research-status Report
交通ネットワークの内生的生成 -平面上の都市経済学的アプローチ-
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23656316
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
宮田 讓 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20190796)
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Keywords | 平面上の都市経済モデル / Beckmann / 交通ネットワークの内生化 / 偏微分方程式 / gradient law / 新都市経済学 / 非均質空間 / 豊橋市 |
Research Abstract |
平成24年度は申請者が提案する理論モデルの完成とコンピュータプログラミングを目指した。本研究でのモデルは連続平面を考え,その平面上で企業,家計,財輸送業者,通勤輸送業者,地方政府,不在地主を考える。都市の地理的条件は地点ごとに異なるとし,それゆえ各地点での交通費用は異なるものとなる。このことが様々な形状の輸送ルートを内生的に生成させることになる。 企業は同質とし労働,資本ストック,土地を投入して,各々の財を生産する。家計は資本ストックと労働を保有するが,単純化のためそれらは価格に対して完全非弾力的に供給されるものとする。家計が供給する資本ストックと労働により要素所得が得られ,家計は効用が最大となるような財の組み合わせを消費する。企業および家計の土地投入は,他の生産要素,あるいは財消費と代替的であるとする。また本研究ではFujita and Ogawaによって導入された立地ポテンシャル関数を援用し,集積の経済の存在を仮定した。 財輸送業者は企業から財を購入し,別の企業,家計へ財を売り利潤を得る。通勤輸送業者は家計から企業まで通勤者を輸送する。この時,労働輸送業者は家計に通勤料金を支払い,企業は通勤輸送業者に通勤費用を支払い,その差額として通勤輸送業者は利潤を得る。そして財輸送業者,通勤輸送業者は利潤が最大となるような経路を選択する。 企業の均衡利潤は地点によらずゼロとなり,家計の均衡効用水準は地点によらず一定となる。この時,土地に支払われる最大地代が付け値地代関数となる。不在地主は最も付け値地代の高い経済主体に土地を提供する。閉鎖都市においては人口が変化しないため,均衡効用水準を決めることができる。以上について愛知県および豊橋市のデータを用いてプログラミングを行い,テストシミュレーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果が国際雑誌に掲載されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度に完成させたコンピュータモデルについて,仮想数値シミュレーションを行う。これは本研究のモデルが解析的にはかなりの程度解けるものの,具体的な数値までは分らないことと,解の関数型が複雑なため比較静学分析が数学的にはできないことによる。 特に地理条件の非均質性は偏微分方程式を複雑にし,また立地ポテンシャル関数は平面上の2重積分として定義され,具体的な値の予想が付かない。しかしこれらは交通ネットワーク形成に決定的な役割を果たす。 仮想数値シミュレーションはどのような数値を用いても構わないが,より現実的にするために愛知県および豊橋市のデータをできる限り用いる。データは1企業および1家計ベースで収集する。そして都市形成パターンを決める偏微分方程式を差分法で数値的に解き,道路交通センサスやデジタル衛星写真などとの照合により,モデルの再現性を確認する。特に交通ネットワークがどのように形成されるのかに焦点をおいてシミュレーションを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主たる研究費用は数値計算ソフトの購入,データ収集・整理のための研究業務補助,研究成果発表のための国内外旅費などである。
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