2012 Fiscal Year Annual Research Report
同位元素電子顕微鏡イメージングによる超微粉炭の吸着機構の解明
Project/Area Number |
23656323
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松井 佳彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00173790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 拓 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283401)
|
Keywords | 環境技術 / 環境材料 / 土木環境システム / 反応・分離工学 / 水資源 |
Research Abstract |
本研究の目的は,吸着剤をコロイド領域(粒径1 μm以下)に超微粒度化することによって発現する吸着容量の増加のメカニズムを,安定同位元素電子顕微鏡イメージング技術を用いて解明することである.本研究では,水素元素(H)の代わりに同位体元素である重水素元素(d)を含んで合成されたジェオスミンと2-メチルイソボルネオールを調整し,これらを純水中で活性炭に吸着させ,活性炭粒子内部における吸着量分布を,同位体顕微鏡システムを用いてd / H同位体比の3次元分布イメージングとして「ありのまま」に可視化し,定量した.その結果,椰子殻炭ではd / H同位体比の値が活性炭の内部に比べて外表面の方が高いことが示され,ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールは活性炭粒子の外表面付近に主に吸着していることが世界で初めて示された.このため,活性炭粒子を微粒度化するとジェオスミンと2-メチルイソボルネオールなど一部の物質については吸着量が増加することが分かった.微粒度化しても2-メチルイソボルネオール吸着量が増加しない活性炭(木質系活性炭)は,2-メチルイソボルネオールが活性炭粒子の内部まで吸着していることを示すデータも取得できた.ただし,木質系活性炭については,計測されたd / H同位体比と2-メチルイソボルネオール吸着量から予測されるd / H同位体比は定量的に一致したが,椰子殻炭では一致しなかったことから,この部分についてはさらなる検討が必要と思われた.活性炭粒子の外表面付近吸着を定量モデルとして,吸着領域の厚さδを導入したShell adsorption model:SAM)を用い,吸着領域の厚さの定量解析を行った.測定は2種類の活性炭で行ったが,今後は計測回数と種類を増やし,結果の信頼性をより高めることも重要と思われた.
|
Research Products
(2 results)