2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大村 達夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 大輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550368)
真砂 佳史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50507895)
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Keywords | ノロウイルス / ウイルス様中空粒子 / 緑色蛍光タンパク質 / 組織細胞 |
Research Abstract |
研究初年度に準備した緑色蛍光タンパク質付加ノロウイルス様中空粒子を用いて,ノロウイルス培養細胞の探索を行った。組織細胞としてはヒト腸管由来のINT407細胞を採用し、緑色蛍光タンパク質付加ノロウイルス様中空粒子を滴下して蛍光顕微鏡で観察した。その結果、中空粒子の観察に足る十分な蛍光量が確保できないことが明らかとなった。そこで、組織細胞へのノロウイルス感染が生じた際の細胞応答に着目し、ウイルス感染を迅速に検出可能な遺伝子マーカーの探索を試みた。テストウイルスとしてはポリオウイルスを用い、INT407細胞へ感染後、12時間後に総RNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析を行った。その結果、発現量が上昇した遺伝子数は49,下降した遺伝子数は66であった。中でも特に高い変動値を示した遺伝子は,ケモカイン,ケモカインレセプター,そしてイオンチャネルに関わるグループに大別された。最も高い変動値を示したKCNJ4はカリウムイオンチャネルの調節に関わる遺伝子であり,カリウムの恒常性を保つ働きがあるイオンチャネルである。ポリオウイルス1型感染後のKCNJ4の発現解析を行ったところ、感染後6時間以内において発現量が顕著に上昇し、濃度の低い条件においても極めて高い変動値を示したことから、この遺伝子が低濃度のウイルス感染に対して敏感に反応することが示唆された。以上の結果は、KCNJ4がウイルスの細胞感染を検出する遺伝子マーカーとして活用可能であることを示している。本研究により、ノロウイルスの細胞感染を迅速に検出するために必要な遺伝子マーカーが同定されたことから、組織細胞によるノロウイルス培養実現に向けて非常に貴重な知見が得られたと言える。
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Research Products
(3 results)