2012 Fiscal Year Annual Research Report
水資源消費に起因する環境負荷の影響評価への国や地域による相違の組み込みの新提案
Project/Area Number |
23656326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00134015)
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Keywords | バングラデシュ / ダッカ / タイ / ハジャイ / ステイクホルダー / 気候変動 / 洪水 / 水不足 |
Research Abstract |
24年度はバングラデシュとタイに焦点を絞って研究を実施した。 バングラデシュ・ダッカにおいては、都市住民、非都市住民、製造業、商業、農業のそれぞれのセクターをステイクホルダーとして対象にして、水利用に関する意見調査を行った。意見を尋ねた項目は、水不足、経済的貢献、水質汚濁、水不足による損失、使用時の水のロス、であり、これらに対して、自らも含めてどのセクターの寄与が大きいかを問うた。意見調査は、ペアワイズ型でセクター間の寄与の大小を問う質問を行うグループとそれぞれのセクターの寄与についての絶対評価の質問を行うグループに分け、さらに専門家と関連機関を含み合計328名から意見を得た。これらの調査結果に基づき、人びとをクラスター分析で分類した。たとえば、都市及び非都市の住民は5つのクラスターに分けられ、水不足、経済的貢献、水質汚濁、水不足による損失、使用時の水のロスへどのセクターが最も寄与しているか、ということに関する意見が異なることが分かった。これ以外に、それぞれのステイクホルダー毎に異なった意見が存在することが明らかになった。このように多様な考えを持つステイクホルダーの要望を満足する形で水利用の問題に対する政策を決定していくことが必要であることが分かった。このことは水資源の利用がもたらすインパクトの評価には社会的な要素が非常に大きいことを示唆している。 一方、タイについては、水資源不足というよりも土地利用の変化がもたらす洪水のリスクに着目して、南部の都市ハジャイを対象にして研究を進めた。気候変動に関する二つの大気大循環モデルの出力を用いてこれを統計的にダウンスケールし、更に水文モデルを組み合わせることによって2060年頃までの20年に一度程度の確率で生じる浸水深さの分布を求めた。それとは別に家屋の被害と浸水深さの関係を現場調査によって明らかにした。
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